【We Are SOZOW !!】子どもが気づくための”機微”を逃さない(西 晃生/ SOZOW CTO)
We are SOZOW!!
子どもたちの想像力・創造力を育もうと仕事をするわたしたちが、どんな思いや背景を持ちながらSOZOWに向き合っているのか紹介します。
今回は、創業メンバーのひとりであり、NEXTプログラムのコンテンツ制作者やメンターとしても活動されている、Go VisionsのCTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)である、「二ッシー」こと西 晃生さんにインタビュー!
子どもたちの好奇心を解き放つサービスを提供するためにSOZOWへ
ー西さんは東京大学の大学院(修士課程)を終えてからLITALICOに入社されていますね。
大学院に入学する時にアントレプレナーシップ的な思考を得て、価値観の転換が起きたことがきっかけでLITALICOに応募し、採用してもらいました。
偏見かもしれませんが、高専からそのまま電気会社へみたいな安定したレールが王道かなとは思っていたのですが、一度きりの人生ですから社会的に影響を与えることがしたかったんです。
そのためにはビジネスのことを当事者になって深く知るべきだと思い、GREE主催のビジネスコンテストにも出たりもしてました。
「エンジニアになろう」と思っていませんでしたが、他の参加者のビジネスプランを見ていると、あらゆる事業においてエンジアが強く求められていることを知りました。
また、世界のビジネスシーンに目を向けて比較してみると日本には圧倒的にエンジニアが少ないこともわかりました。
その時に「これからはエンジニアリングができる人たちが上にいる組織がやっぱ強いんじゃないか」と考え、修士課程初期(大学院1年目)の途中から志望内容を民間企業のエンジニア職に切り替えたんです。
LITALICOを就職先に選んだのは、入った後に事業として裁量権が(一定以上)確保できること。さらにエンジニアリングができることに加え、事業の立ち上げから運営管理が一括でできるっていう条件で考えていたところに合致したのが大きな理由です。
仮に、自分で独立しようと思った時にコンシューマーサービス(toC)領域に寄りすぎてしまうと、転職する業界が固まってしまいそうだなとも思ってましたが、LITALICOは複数の事業モデルを持っていたので、そこに大きな魅力を感じました。
ただ、もう入社する時に言ってたんですよね。
「3年で辞めます」って。(笑)
ー え…?笑
Udemy*で講師もされてたり、個人事業主として十分やっていけそうですが、あえてGo Visonsに参画しようと思ったのはなぜだったんですか?
まず、僕は自己肯定感が高い人間ではありません。
なんていうか「自信を得る」ことが難しい人間だと自覚していますから、自分の生きざまやモチベーションを自分が立ち上げから携わるサービスに委ねるしかない、と考えています。
なんでかというと、自己肯定感が低い中で自分オリジナルの事業をはじめていくと自己矛盾が生じるというか、結構きつい状態になるなと。
起業にフォーカスしてサービス作ろうとフリーランス2年目ぐらいのところで改めて思いましたし、善し悪しは置いといて他の会社のCTOの方々よりも、技術に対しての興味関心は低いんですよね…笑
コーディングの綺麗さや、美学みたいなものに対しては関心がないし、プログラミングは一つの手段です。
そこにこだわるよりもサービスの根底となる精神やサービスそのものを強く意識するようにしています。
⋆Udemy(ユーデミー)とは、200,000以上の講座があるオンライン学習プラットフォーム。おもに社会人が対象で、教えたい人が講座を開き、学びたい人が学べるサイト。
ー Go Visionsに共同参画し、2019年6月にはオフラインイベント「Go SOZO」はじめます。コロナ禍でメイン事業がオンラインにシフトしましたが葛藤や後悔はありませんか。
僕は、ベンチャー企業やスタートアップのエンジニアとして大事なことの一つに「自分が作ったものを0からもう1度組み上げることになったとしても精神的に崩れないか」だと考えています。
事業方針が変わったこと自体は自分にとってあんまり影響はなかったと思ってますが、「もし、あのままGo SOZOが続いてたらどうなってたかな?」ということは時々考えちゃいますね。妄想しているというか。
ただ、現状を踏まえた経営判断として行っていないだけで、時期と機会があえばまた再開することも視野には入れてます。
ーSOZOWは子どもの「好奇心」に火がつくオンラインの学び場をコンセプトにしたサービスですが、なぜ「好奇心」がメインキーワードだったんでしょうか。
「好奇心」をコンセプトの軸に据えることは、代表の小助川とわたしの前職(LITALICOワンダー)から強く影響を受けていて、子どもたちへの接し方として指示/命令型の「ティーチング」ではなく自主性を重んじつつ成長を促す「コーチング」を意識したものです。
子どもに「将来、何になりたい?」と聞くと「パン屋さんになりたい」とか「ウルトラマンになりたい」とかいろいろと言ってきてくれますよね。
でも小学生、中学生、高校生と年齢を重ねるつれていろいろと社会的な現実を味わい、気づいたら「あれ?自分の夢…ない」となってしまう子がわりと多いのではないかという仮説を持ってました。
「何が夢をなくしてしまう原因になるのか」を考えると、自己肯定感が下がってしまったり、日常にワクワクを感じる瞬間がなくなっていることが理由なのではないのかなと。
それ、すごく勿体ないことじゃないですか!
自己肯定感を抱きつづけることや、抱くだけでなくさらに高めること。ワクワクしたりドキドキしたり…と「楽しむきっかけ」を小学生、中学生と年齢が重なっても持ち続けるには「好奇心」が必要なんじゃないかと考え、これがSOZOWにとって軸となるメッセージとなったんです。
本人も気づいていない”心の機微”を捉えた支援ができるか
ー 西さんが子どもたち、ひいては教育事業に関わろうと考えたきっかけはなんですか?
僕は「子ども」と「大人」という垣根をあまり持っていません。
一人の人間として接してるといえばいいでしょうか。子どもであろうと大人であろうと意見や主張をできるって意味では差はありませんから”子どもだから”と見下すような話し方や接し方をすることはありません。
まず、これが僕の子どもたちへの向き合い方であることを前提だと理解してください。
僕はヒトの「理解する瞬間」にすごく興味があるんですよね。「誰が、いつ、どんな言葉をかけえることで、理解したのか?」と、つい深く考えてしまう。(笑)
その対象は「子ども」や「大人」といった区分をしませんが、子どもの方が予想外の方向で動く振り幅が大きいことから大人よりおもしろいと感じることが多いかもしれません。
これ、学術的には教育心理学の分野になるそうなのですが、僕としては学術的な知識として理解するより、いろんな経験を元に「こういう時はこう接した方がいいのかも」と、自分の実績ノウハウを持っていた方が自分にとっての強みになるのかなと思ってます。
ーSOZOWでは多人数形式(STARTコース)と少人数形式(NEXTコース)がありますが、NEXTコースを少人数で実施することの利点はどんなところにあるんでしょう。
少人数のメリットは、子どもたちが制作物を共有する際に本人も自覚できてない貴重なインプットの瞬間があるって気づけることですかね。これが醍醐味だな、とか思ってます。
共有から2、3週間後に「他の子が取り組んでた部分を自分のプログラミングコードの中にちょっと取り入れてみました!」なんて時って、自分の興味と関心が刺激されたからこその行動であり発言ですよね。
僕たちがコンテンツ(SOZOWのコースプログラム)や、教材などサービスの中で見せたもの以外に、学びをともにする仲間と一緒に取り組む時間を設けられていたからこそ得たインプットがあります。
そこで僕のような第三者(メンター)が、「本人さえ気づいていない心の機微」をちゃんと言語化して伝えてあげることが大事。
正直、子どもだろうが大人だろうが自分の心の機微に気づくことってなかなか難しいかなとは思います。
そこをメンターが「あ、それ3週間前のあの子のやつじゃん!」なんて具合に伝えてあげると、その子も新しい気づきになるし、参考・引用してもらった子は自己肯定感が上がるきっかけになる。
「自分の作品が誰かの役に立った」とか「人に真似してもらえるぐらいのクオリティなんだ!」とうれしいだけでなく、参考にした子も制作のヒントにもなっている。
これ、まさにWIN-WINじゃないですか!相互に学びや気づき、承認が伴う学習スタイル、すごくいいんじゃないかなぁ…なんて手前味噌ながら思ってます。(笑)
ー 子どもたちの「好奇心」が湧いてるなと判断するのはどんなときですか?
(プログラミングの)スキル面でどうこうというのは正直、あんまり本質的ではないだろうなって考えてます。
むしろ大事なのは、感情や情動といった人間らしい部分がどう揺れ動いたのかであって、そこを特に気をつけて観察してます。
たとえば、情動的な面でいうとマイクを今まで入れてなかった子がマイクオンにして自分の作品の特徴を言えるようになったり、カメラを自分からオンにしてくれたりすること。
それってその子にとっては大きな勇気ある一歩ですよね。
好奇心が湧き上がってきて「人に自分の作品を紹介したい!」とか「この人だったら言ってみてもいいかな」といった気持ちの変化が生じたからこそ起こる行動変容です。
こういう変化は、新たな好奇心が湧き上がってくる大きなきっかけになってくるでしょうし、一緒にいるメンターが、その子の作った作品のアピールポイントを拾えるかどうかがすごく大事。
この点、(自分は)得意な方だと思っているんですけど「そこを褒めて欲しかったんよ!」って言った時の子どものテンションの上がり方って、しっかり気づいて言い当てると顔をメッチャクチャにしながら喜んでくれるんですよ。
あれがたまらない。(笑)
一緒にやってるスタッフにはそういった情報を共有し、「この作品を見た時にどの点を見たのか」なんて具合にスタッフ間で気づきの共通認識を増やすことを目指してます。
子どもたちの自尊心が育まれる要素になりたいんですよね。
子どもたちが生きる力を育むために好奇心や探究心を湧かせ続けたい
ー ディズニー・テクノロジア魔法学校コースやマイクラプログラミングコースといった少人数制のNEXTコースはどういう経緯で立ち上がったんですか。
多人数を対象とするスタートコースはSOZOWの中でつくりましたが、子どもたちの興味や関心、何よりも好奇心を湧き上がらせるためのコースプログラムを内製するのは創業当時は現実的にむずかしかったんですよね。
SOZOWの文化や特長を残した上で、いろんな業界に入ってきてもらおうと考えた時に「どんなツールやサービスならいいだろうか」と社内で議論を繰り返しました。
たとえば、「あまり専門性を突き詰めすぎるとエンジニアやプロの技術職の人を何人も呼ばなくてはいけないからちょっと辛いよね…」といった帯に短し襷に長しなところをどうやって解消していこうか、が主にスタッフ一同で考えていたことです。
そんな中、「ディズニー・テクノロジア魔法学校」(ライフイズテック株式会社が提供する、ディズニーの世界を楽しみながら初心者でもプログラミングを学べるオンライン学習教材)を知り、「あっ、こういう形もいいね!」と。
そこからSOZOWの中でも人気の高い「マインクラフト×プログラミング」もやろうとなり、「マイクラプログラミングコース」を立ち上げることになりました。
徐々にスタッフが増えてきたことやアクティビティのノウハウが溜まってきたこともあり、当初はSOZOW以外のツールやサービスを取り入れようとしていたものの、結局は自分たちで模索しながら制作する方向ですすめています。
ープログラミング学習を提供する場合、「スクラッチでゲームプログラミングのようなことをやります」っていうのと、「ゲームを作るために本格的なプログラミングをします」って、似てるようで違いますよね。
そこはどう棲み分けているんですか。
結論から言うと、先ほどの話と共通するのですが、ツールやサービスを利用することに納得できる部分とそうではない部分があります。
子どもによって理解の仕方や学びたい理由は様々なので、きっかけを与えることを考えたらツールやサービスを利用することで学びが促進される可能性がありますよね。
プログラミング教室に通っている9割の子どもはゲームなどのコンテンツに興味があるのであって、プログラミング自体に興味があるわけではないことが大半ではないでしょうか。
どういうことかというと、冒頭でもいいましたがプログラミングはツールに過ぎないん。それを踏まえると、本人のニーズとやっていることが噛み合ってないことって少なくないんじゃないかと思ってます。
ただ、中にはプログラミングにすごく興味を持ってくれて、探求しようとする子は一定の割合で出てきます。
そういう子にはコード配列を見て「ここを見ると、こういう風に書いてあるよね」といった具合に相応の関わり方をします。
繰り返しますが、プログラミングはツールでしかなく最終的に作りたいものを意識して書く必要があるので、それぞれのお子さんが抱えているニーズによって使い分ければいいんだろうと考えています。
僕も高専(高等専門学校)の時にJava※1やVBAのマクロ※²を使ってゲームを作ろう!みたいな教材を買ってみた経験があります。すぐゲームが作れると思ったのにプログラムだったりマクロといった難解なことだらけで、途中で諦めてしまいました。(笑)
⋆¹ JavaはC言語をベースに開発されたプログラミング言語。Googleが開発に用いる三大言語(Java、C++、Python)の一つとしても知られている。
⋆² マクロとは、関連する複数の操作や手順、命令などを一つにまとめ、必要に応じて呼び出すことができるようにする機能。
「最後にスーパーマリオブラザーズのようなスクロール型のゲームを作れるよ!」と教えてくれていたらもっと創作の過程を愛せたでしょうし、楽しくなったりすると思うんですけど、そこに興味をもてなかった…。
子どもたちがそんなことを理由にものづくり自体の興味も失ってしまい、創作意欲を失ってしまうのはすごく勿体ない。
だから、プログラミングはものづくりの楽しさを感じてもらうためのツールとして捉えることが大事なんだと考えてます。
これは余談ですが、プログラミング業界に佇むエンジニアたちには三大美徳とされるものがあり、「傲慢」「短気」、そして「怠惰」です。
プログラミングは「ヒトの手でやると大変だなと思うことを楽にしたい」と考えると非常に有益。
プログラミングを学ぶ意義を知るには、まずは子どもたちが面倒なことを知らないといけないわけです。
だから、面倒なことを知った子に対して「それが嫌だったらプログラミングを使えば楽になるよ」と言うことはありますが、マイクラなどで建築の過程自体がスキな子がいたとして、「この建築のめんどくさい作業が好きなんだ!」っていう子に向けてプログラミングの便利さを教えてもありがた迷惑ですよね。
別にエンジニアになりたいからプログラミングを学んでいるわけではない子もいると思うので、本人がどうしたいのか、どうなりたいのかが大事なんです。
ーSOZOWは職業人を育てたいわけではなく、子どもたちの興味を湧くきっかけに何ができるのかを模索し、ツールやサービスに頼りすぎないことが特徴だと理解していいですか。
時代の変化っていうのは、たった一つのきっかけでガラリと変わってしまいますから、今ある職業を目指してスキルを加えても予測不能な事態が起きると応用が効かなくなりそうですよね。
それよりも「自分の好きなことはこれだから、それをやり続けるにはどうしようか?」とか「このスキル好きだから学ぼう!」という循環を持てている方が、その人らしい人生になるんだろうなと考えてます。
職業などはあんまり決めなくてもよくて、「自分は何に興味があるのか?」に興味を持つことの方が大事かなぁ…と。
ー 最後に、今後SOZOWはどうなっていきそうですか。
SOZOWって枠組みを世の中に、ひとつのコンテンツとして認識していただけるようにしたいなと思っています。
今って、「オンラインスクール」っていう他の言葉でも当てはまるような事業体だと思っています。
でもそれって、まだかっこよくないというか、まだ強くないなっていう風に思っています。
今後、別の要素を掛け合わせることで「成長のログが取れるオンラインスクール」だったり、「子どもの興味を必ず引き出してくれる夢の国」とか、そういう言葉に仕上げれるような、大きい軸を打ち出せるようなサービスにしていけたらなと思っています。
「プログラミングはただのツール」や「本人さえ気づいていない心の機微」をちゃんと言語化して伝えてあげる」など、ティーチングの姿勢ではなくコーチングの姿勢を大事にされているからこその姿勢なのだなと感じさせてくれた西さんへのインタビュー。
SOZOWが何かしらのスキルや知識に特化したスクールではなく、子どもたちが自分の可能性を広げるためのきっかけとして「好奇心」や「探究心」を育み、結果的に子どもたち自身がたくましさを身につけていくことを目指していることがよくわかりました。
SOZOWでは無料体験を実施していますので、ぜひ子どもたちの好奇心や探究心が刺激される瞬間をみてみてください。
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