【プロLIVE】Zipparで乗り物革命!宇宙エレベーターを作りたい!須知 高匡さん(Zip Infrastracture株式会社)
もくじ
さまざまなプロから「プロとして」取り組むシゴトについて話を伺い、直接質問したり、今まで触れることが出来なかった未知の世界を体験することができるプロLIVE。
今回の記事では、ゲストにZip Infrastracture株式会社 代表の須知 高匡(すち たかまさ)さんをお迎えした様子をお届けします。
いきなりですが、全国の「渋滞」*により年間どれくらいの経済的損失が出ていると思いますか?
⋆日本道路交通情報センターでは「渋滞」を、高速道路の場合は時速40㎞以下、都市高速道路の場合は時速20㎞以下、一般道は時速10㎞以下で走行しなければならない状態と定義されています。
実は、なんと約12兆円!
時間に置き換えると、日本全国で起こっている渋滞から約38.1億人時間(!)、1人当たり年間で30時間を損失しているという調査結果も出ています。(国土交通省「効果的な渋滞対策の推進」より)
今回のプロライブでは、世界中で深刻な問題に「科学のチカラ」で解決を目指す発明家・須知さんの発明品やその仕組み。開発から実装にいたった背景についてもお話いただきました!
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登壇者紹介
須知高匡さん(以下、須知さん):Zip Infrastracture株式会社 代表取締役
リッキー:ガイド
道路の上を走る!?未来のロープウェイ「Zippar(ジッパー)」
今日は「乗り物の発明家」に来ていただきました。
さっそくですが、須知さんはどんな乗り物を発明しているんですか?
「ZIppar(ジッパー)」という新しいロープウェイを作っています。
スキー場などでロープウェイに乗ったことがある人もいると思いますが、Zipparはそれとは違い、都市の道路の上を走る、今までにない新しいタイプのロープウェイなんです。
道路の上を走る!? それはすごい発明だ!
Zipparの特長はどのようなところですか?
Zipparの特長は主に「低コスト」「自由設計」「自動運転」「快適・安心走行」の4つです。
一つ目は、他のモノレールと比べて、およそ1/5のコスト(15億円/km)、期間(1年)で建設することができること。
路面電車や地下鉄と違って公道上を走行するため、用地を確保する必要がないので比較的スムーズに実装することができます。
二つ目は、ロープとゴンドラが独立しているので道路のルートに合わせて曲がることができること。
スキー場のロープウェイなどは基本的には直線にしか進むことができませんが、Zipparならカーブや分岐点を自由自在に設置することができ、それぞれの土地の交通需要にも柔軟に対応できます。
三つ目は、電気で動く仕組みになっているので、人が手動で運転をする必要がないこと。
改良を重ね、さらなる安全性が認められれば、子どもだけでも自由に好きなところへ行けるようになるかもしれません。
四つ目は、2本のロープとレール上を滑らかに安全に走行すること。
走行速度は約12秒に1台の速さで停留所(駅)にやってきます。地下鉄の電車がおよそ150秒に1台なので、単純計算で電車の10倍以上の速さです。
1台に乗れる人数は最大12人なので、電車やバスのようにぎゅうぎゅう積めにされることなく、外の景色を楽しみながら快適に移動することができます。
速くて、快適!
今の説明を聞くだけでもとても魅力的な発明に思えますが、現時点(2022年11月)ではあくまで構想段階の話であって、まだ実装には至ってないですよね?
実は少しずつ実装され始めているんです!
すごい!Zipparだ!これはどこにあるんですか?
神奈川県の秦野市にあります。
2021年に秦野市と弊社が連携協定を結び、地元のメーカーの方(新晃工業)にも協力いただきながら、2025年の「大阪万博」での実用化を目指してさまざまなテストを行っています。
うまくいけば、東京や北海道や沖縄だけでなく、マレーシアやフィリピンなど海外でも拡大実装する予定です。
「Zippar」が普及したらどうなる?
今の話だけでも、みんなすごいワクワクしてるね!
もしZipparがいろんなところで普及したら、どんないいことがありそうかな?
動物園の檻の上を通れる!交通事故がなくなる!
渋滞がなくなる!
チャットでもいろんな意見が来てる!みんなありがとう!
たくさん素晴らしい意見が出ましたが、実際にZipparが完成したらどんないいことがあるんですか?
公道上を走るので、渋滞や交通事故を大幅になくすことができます。利便性という面では、バスや路面電車と比べて待ち時間も少なくなるかもしれません。
駅もたくさん作られる予定なので、わざわざ駅まで歩かずに済み移動が楽になります。
「こんな乗り物があったらいいなあ」というアイデアを教えて!
今までの話を聞いて、自分はこんな乗り物があったらいいなというアイデアが浮かんだら、ぜひ聞かせて!
お弁当箱の形をした乗り物で、ボタンを押せば欲しい具がタダでもらえる!
宇宙に行ったり、自分が行きたい目的地に自由に行ける乗り物!
とてもおもしろい!
みんな、ナイスアイデア!
「道路の上を自動運転で走る車」と聞くだけでワクワクが止まりませんね…!
私たちが当たり前のように「Zippar」に乗る日もそう遠くないかもしれません。
僕が作りたいのは「宇宙エレベーター」!
参加してくれてる子どもたちから素晴らしいアイデアがたくさん出ましたが、須知さんはこの先どんな乗り物を作る予定ですか?
僕が作りたいのは「宇宙エレベーター」です!
宇宙エレベーター!?
壮大なアイデアですね。みんな「宇宙エレベーター」って聞いたことあるかな?
結構知ってる人がいますね。最近は教科書にも載っているようです。
ちなみに、宇宙エレベーターはどんな仕組みでできているんですか?
かなり複雑な造りになっているため口頭で説明するのは難しいんです…なので、もし興味があればネットで調べてみてください。YouTubeにも動画があがっています。
ただ、Zipaarと少し仕組みが似ていて、Zipparが横移動なら宇宙エレベーターはその縦移動バージョンだと理解してくれればいいと思います。
👆「宇宙エレベーター」建設構想!簡単に宇宙に行ける日はそう遠くないかも!?
牛乳パックで船を作ってました
Zipparや宇宙エレベーターなど、素晴らしい発明品を開発されていますが、なぜそのようなことに挑戦してみようと思ったのですか?
子どものころから科学が好きで、なかでも「宇宙」にとても興味を持っていました。
家に図鑑がたくさんあるのですが、宇宙の図鑑だけボロボロになっています。(笑)
他にも、NASAのイベントに参加したりもしていました。
小さい頃から好奇心旺盛だったんですね。
そして、もう一つ好きだったのが「乗り物」。
小学生のころ、自分で乗り物をどうしても作りたくなってしまい、学校の給食で捨てられていた大量の牛乳パックを再利用して船を作りました。
牛乳パックで船!?
すごい発想ですね。実際に乗ってみたんですか?
学校のプールに浮かべて乗ってみたのですが、たった5分で沈んでしまいました。(笑)
でも失敗したことで、がんばって一生懸命作った船は一瞬で壊れるのに、どれだけ乗っても壊れない車やバイクってすごいんだなと、実体験を通じて学びを得ることができました。
小学生のころから「発明家」としての芽があったようですが、ずっと科学一筋の人生だったんですか?
中高時代はサッカーに夢中でしたが、大会で一回戦で負けてしまうチームのレギュラーにすらなれないくらい下手でした。(笑)
引退を前にした最後の大会で出してくれたこともあったのですが、何だか情けをかけられているようで複雑な気持ちになり、すごく悔しい思いをしました。
そんなこともあったんですね…
ただ、サッカーで挫折したことがその後の人生において視野を広げてくれましたね。
実力が足りないことを自覚すること、足りない力を補うために努力すること、何より、困っている人を支援する大切さに気づくことにつなりました。
牛乳パックで船をつくる!?無邪気な少年らしい奇想天外な発想に思えますが、そのときの失敗経験が須知さんを発明家への道へと駆り立てたのかもしれませんね!
“失敗から得た学び”には価値がある
須知さんは、発明家だけでなく「起業家」としても活動されているんですよね?
大学生のときに今の会社を起業しました。
大学生で起業する人はあまりいないと思いますが、僕の場合は、発明品を開発するための資金集めが起業の主な目的でした。
自分の活動を応援してくれる人を探すために起業したんですね。
「思いたったらやってみる!」という行動力と情熱をすごく感じます。
今年みんなが新しくチャレンジしたいことを教えて!
今の須知さんのお話を聞いて、みんなも何かチャレンジしたくなったんじゃない!?
今年みんなが新しく挑戦したいことを教えて!
一人で料理を作れるようになりたい!
YouTuberになりたい!
学校で算数の成績が良くないから、がんばって成績を上げたい!
みんな素晴らしいチャレンジ!きっとみんなならできるはず!
チャレンジしない人生はおもしろくない!
新しいチャレンジには失敗が付き物だと思いますが、失敗したときはどんな気持ちで乗り越えていますか?
チャレンジしない人生は面白くないんじゃないかと思っています。
人生は一回きりですから、やりたいことをやらなきゃもったいない!
むしろ、失敗することを見越したスケールの大きい挑戦をするのがいいと思います。
失敗するからこそ、挑戦をしていると言えると!
次なる「夢」は「Zippar」を世界中へ
須知さんは、すでに発明家として活動されていますが、ここからさらなる「夢」はありますか?
Zipparを世界中に普及させて、みんなが乗れるようになることです!
それは楽しみですね!Zipparに乗ってみたいって子はどれくらいいる?
すごいたくさんいる!うれしいです。みんなありがとう!
発明家として世界中から注目される須知さんも、たくさんの失敗や挫折を乗り越えてきたんですね…
「Zippar」や「宇宙エレベーター」など刺激的な話を直接聞いた子どもたちは、須知さんに対してどのような疑問や興味を抱いたのでしょうか?
子どもたちからの質問
子どもたちに須知さんへの質問を募集したところ、たくさん手が上がりましたので一部をご紹介します。
どうやったら新しい挑戦をする勇気が出るんですか?
自分の目標を達成できるか自信を持てないときもあると思いますが、自分の目標をすでに達成している人にアドバイスをもらうといいかもしれません。
それが難しい場合は、本を読むのもいいですね。僕も実際に、鉄道を発明した人の本を読んで発明品を作る参考にしたことがあります。
「自分と同じ人間ができたなら自分だってできる!」と自信を持てました!
Zipparがどういう仕組みで動くのかくわしく知りたいです!
普通のロープウェイは、実はゴンドラはロープに固定されていて、ロープが動くことで移動できる仕組みになっていますが、Zipparの場合は、ロープは固定されていてゴンドラの方にエンジンやバッテリーが組み込まれているんです。
なので、仕組みとしてはモノレールに近いかもしれません。
👆ロープとの接地面にエンジンらしきものが!安全な自動運転の実現に向けて、2020年から様々な試行錯誤を重ねているようです。(出典: 自走式ロープウェイ Zippar 一人乗り簡易モデル実証実験(2020年夏) )
いろんな種類の乗り物があるなかで、なぜロープウェイを作ろうと思ったんですか?
実は、Zipparを作る前にすでに宇宙エレベーターの開発を目指していたのですが、当時は現実的な難しさがあり、途中で断念しました。
でも、そこで得た知見を何かほかの発明に応用できないかと考えた時に思い浮んだのが、ロープウェイだったんです。
ロープウェイなら人を運んだり便利なものとして活用できるし、宇宙エレベーターと構造も似ているので、ロープウェイにしました。
須知さんから子どもたちへ
最後に、須知さんから子どもたちへメッセージをお願いします!
日ごろからたくさんのことにチャレンジして、うまくいくこともいかないこともたくさんあると思います。
でも、たとえうまくいかなかったとしても、その中で得られる学びはもしかしたらうまくいったときよりもたくさんあるかもしれません。
なので僕もがんばるので、みんなも失敗してもめげずにいろんなことにチャレンジしてほしいです!
まとめ
子どものころから宇宙や乗り物が大好きだったという須知さん。小学生のころにはすでに手作りの船を作っていたとは、驚きでしたね!
科学やものづくりが大好きな子どもたちにはとても大きな刺激になったのではないでしょうか?
「宇宙エレベーター」という前人未到の挑戦を続ける須知さんの発明からは、今後も目が離せませんね!
月に一度のさまざまな分野のプロから直接お話が聞けるだけじゃなく、もしかしたら、みんなの質問にプロの大人が直接答えてくれるかも?
SOZOWのプロLIVEを今後もお楽しみに!
SOZOWでは、さまざまなゲストをお迎えして毎月プロLIVEを開催しています。
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