【プロLIVE】永田暁彦( 株式会社ユーグレナ)が子どもたちに語る「フシギ」に向き合う大切さ
もくじ
経営者や活動家、クリエイターなどさまざまな分野のプロが毎月登場する、SOZOWのプロLIVE。
子どもたちは、お仕事についてのお話を聞いたり気になることを質問をしたりして、新たな世界に触れることができます。
今回は、元株式会社ユーグレナ代表執行役員CEO兼リアルテックファンド代表の永田暁彦さんをゲストにお迎えした際のプロLIVEの様子をお届けします。
登壇者紹介
永田暁彦さん
元株式会社ユーグレナ代表執行役員CEO兼リアルテックファンド代表
”テクノロジーで未来の世界を良くするプロ”
2008年にユーグレナ社の取締役に就任し、取締役代表執行役員CEO兼ヘルスケアカンパニー長として食品から燃料、研究開発など全ての事業執行を2023年12月末まで務めていらっしゃいました。
また、日本最大級の技術系VC「リアルテックファンド」代表も務め、地球や人類の課題解決に資する研究開発型の革新的テクノロジーを生み出す企業への投資も行っています。
今回のガイド:コッシー
「めざせ!お金マスター」や「起業家になろう」をはじめとし、さまざまなシリーズに登場。
子どもたちが未来に希望を持てる学びを目指します。
世界の問題を科学のチカラで解決する会社「ユーグレナ」
株式会社ユーグレナは、科学のチカラでさまざまな問題を解決する会社。
しかし、具体的にどんなやり方で、何の問題を解決しているのでしょうか。代表執行役員(元)である永田さんから教えていただきました!
ユーグレナは日本初のある燃料を使って飛行機を飛ばすことに成功した会社!
なんの燃料を使ってこの飛行機を飛ばしたのか永田さんに聞いてみましょう。
この飛行機は、ミドリムシの油を使って飛ばした飛行機です。
鹿児島から東京まで、沖縄県で作ったミドリムシを使って飛行機を飛ばしました。
ミドリムシは、とっても小さくて目で見ることができない微生物です。これを大量に作り、そこから油をしぼって飛行機の燃料にするという研究をしています。
なぜミドリムシを使っているんですか?
まず、とってもふえるのが早いんです。ミドリムシは1日で2倍になります。
1匹のミドリムシが、次の日には2匹、その次の日は4匹、次は8匹…なんて具合に増えていくんですね。
1ヶ月あれば1匹のミドリムシがなんと10億匹になるんです。
このとっても早く増える特徴を生かして、ミドリムシの油を抽出してエネルギーにしています。
しかも、ミドリムシは二酸化炭素を使って光合成をすることでふえるんです。
石油などを使うときに出てしまう二酸化炭素が、今問題になっていますよね。
つまり、ミドリムシは「みんなにとって要らないもの」から「みんなにとって必要なもの」を作ってくれていることになります。
これができるのは世界でユーグレナだけです。
ユーグレナはこんなふうに、世界にあるいろんな問題を科学の力で解決する企業なんです。
なるほど!それがユーグレナなんですね!
今日来ているみんなが解決したい問題はどんなことがあるかな?ぜひ教えてください!
地球温暖化!
地球に住めなくなるかもしれないからなんとかしたい!地震をなくしたい!
砂漠化を解決したい。
みんないろんな課題を答えてくれました!ありがとう!
今日は、こういう社会の問題に永田さんがどうチャレンジしているかについて聞いていきます!
ユーグレナが取組む問題①:貧困問題
ユーグレナが取り組む問題の一つ目は貧困問題。どのように問題に取り組んでいるのか永田さんに教えていただきました。
ユーグレナが取り組んでいる問題の一つ目が貧困問題です。
特に、栄養失調の人たちを助けるということに取り組んでいます。
さっきも食料問題について書いてくれている子がいましたね。
ご飯を食べることができずに困っている人は世界にどれぐらいいるんですか?
十分な栄養を取ることができない人は世界人口の比率でいうと10人に1人いる計算です。
その中でも、僕たちは主にバングラディシュという国で活動しています。
バングラディシュでは基本的に食べるものが少なく、たとえ食べているものがあってもご飯とスパイスだけのカレーだったりして、お肉とか野菜があんまり入っていなかったんです。
このカレーでお腹はいっぱいになるかもしれないけど、ちゃんといろんな栄養を摂らないと困ったことが起こります。
例えば、身長がちゃんと伸びなかったり、勉強の成績が下がったり、スポーツも苦手になったり。
栄養が足りていないと、その国で活躍する人が出てこなくなり、国が豊かになっていかないということがわかっているんです。
貧しい国がずっと貧しいままになってしまうんですね。
具体的にはバングラディシュでどんな活動をしているんですか?
一つは給食を配布することです。
バングラディシュの首都ダッカには、給食が出ない小学校がたくさんあって、子どもたちは朝と夜しかご飯が食べられません。
そこで僕たちは、給食がない小学校にユーグレナクッキーという給食をつくって配布しています。
これによって1日2食しか食べれなかった子どもが3食しっかりとはいいませんんが、食べられるようになります。
ただ、配布するクッキーには59種類の栄養素が含まれているため、栄養失調の問題を解決することができるんです。
子どもたちが栄養失調になるのにはもう一つの理由があるんです。それは、みんなが勉強していないということ。
お母さんたちも栄養が必要だってことを知らないんです。
ユーグレナでは、お母さんたち向けに栄養に関する授業もやっています。
ユーグレナが取り組む問題②:健康問題
ユーグレナが取り組む社会問題の二つ目が健康問題。こちらはどのように取り組んでおられるのでしょうか。
僕たちは、本当の健康を届けようということを大切にしています。
お菓子とかそういう美味しいものって世の中にたくさんあるんですけど、日本のような先進国でも多くの人が栄養失調になっていたり、本当は摂らなくちゃ行けない栄養素を摂れていなかったりしています。
そこで僕たちは研究をして、本当に効果があるとわかっているものを、食べ物として日本国内で売るようにしています。
ちゃんと実験をして健康になるってわかったものだけ届けているんですね。
ユーグレナが取り組む問題③:環境問題
ユーグレナで取り組んでいる問題の三つ目が、地球温暖化を中心とした環境問題。
永田さんがユーグレナの中で特に注力しているのが環境問題だといいます。
地球温暖化って、聞いたことありますよね。
みんなが地球温暖化について知っていることを今から教え合いたいと思います!
ぜひみんなの知っていることを発表してください!
まず地球温暖化が起きると、気温が上昇して、南極の氷が溶けて海水面が上昇します。
あと、気温が上がると多くの生き物が絶滅する。
南極から千葉県と東京都を合わせた大きさの氷が流れ出したって聞いたことがあります。
みんなたくさん知ってますね!ありがとう!
僕が地球温暖化で一番大きな変化だと思うのは、気温や水温が上がって地球全体に熱帯地域が増えることによって、農地が減ることです。
そうすると農作物が足りなくなりますよね。
何かが不足すると、人はこれまで争ってきた歴史があります。
人口は増える中で食べるものが減っていくと、最後は人類同士が争ってしまう。これが一番恐ろしいと思っています。
地球温暖化が進むと実は人と人との争いになるかもしれないと。ちょっとこれはみんなでなんとかしないとまずいって思いますね。
そこでユーグレナは、地球温暖化の原因となっている石油に代わるバイオ燃料をつくっているということなんですね。
さっき紹介した飛行機だけでなく、今は船にも車にもこのバイオ燃料が使われています。
そして、こういう地球環境などの未来の問題をしっかり考えていくために、ユーグレナでは若い人に活躍してもらっています。
CFO、未来のことを考えるリーダーは今16才で、チームメンバーの最年少は12才です。
12才や16才の子たちが活躍しているってすごい!
今後また募集するそうなので、みんなの中で地球をなんとかしたいという思いのある人は、ぜひチャレンジしてみてください!
新しい技術を応援する「リアルテックファンド」
次に、永田さんのもう一つの挑戦であるリアルテックファンドについてお話しいただきました!
リアルテックファンドでは、ロボットを作っている人やお薬を作っている人など、理科や科学が大好きな人たちを応援しています。
実は、彼らが「こんな発明をしたい!」と言っても、なかなか応援してもらえないんです。
そこで僕は、世界中からお金を集めて、日本で一番大きな科学者を応援するファンドを作りました。
リアルテックファンドが応援する研究①「人工培養肉」
リアルテックファンドでは、具体的にどんな研究を応援しているんですか?
一つは、人工培養肉という、科学の力で自分たちでお肉を作るという研究をしているチームです。
お肉を食べようと思うと、牛を育ててお肉を取ったり、魚を釣ったりすることになると思うんですが、人工培養肉は、お肉からお肉を作ります。
環境を壊さず、動物も殺さずに肉を作るということが今注目されていて、アメリカ、イスラエル、日本でたくさん研究されています。
リアルテックファンドが応援する研究②サイボーグ技術
これは、例えばパイロットが「手をこんなふうに動かそう」と脳で考えただけで、ロボットがその通りに動く技術です。
この技術を使えば、パイロットが地球にいても、ロボットが月の上で動いたり、ものを拾ったりしてくれます。
ちなみに今、腕をもう一本増やすことも研究しています。人間って腕を3本、4本ぐらいまで動かせるそうですよ。
えー!そうなんですか!
例えばピアノを両手で弾いていても、めくりたい!って考えただけでもう一本の手が楽譜をめくってくれる、そんな世界を実現してくれますね。
永田さんがみんなに伝えたいメッセージ
いろんな技術を応援している永田さんから子どもたちに伝えたいメッセージをお願いします!
いま研究されていることを知ったり見たり聞いたりすると、未来がどうなるのかということが全部見えてきます。
10年、20年先、みんなが大人になるとき地球がどうなっているのかということは、いまの研究を見ることでわかるということですね。
永田さんが挑戦する理由
ユーグレナやリアルテックファンドなど、いろんな挑戦をしている理由を教えていただきたいです!
さっき見てもらったミドリムシで飛行機を飛ばすプロジェクトですが、あれはスタートしてから15年間かかってます。
人によって意味や価値があるものでも、時間のかかることってなかなか応援してもらえない、誰も助けてくれないんです。
なぜか。
来年、再来年とすぐにお金になることの方がみんなやりたいですよね。
だから僕たちは、本当に社会がよくなることだけどなかなか応援されていないことに光を当てて、そこで頑張っている人たちが報われる社会にしたいなと思っています。
「フシギ」に思うきもちを大切に
最後に、これだけの挑戦をされている永田さんが大切にしていることを教えてください!
僕が一番大切にしているのは「フシギ」についてです。
みんなも学校や家の中でも「なんでだろう?」「どうしてだろう?」って思うことあるんじゃないでしょうか。
フシギを見つけると、もっと知りたいとか解決したいっていう思いになりますよね。
お家の人とか学校の先生に「なんで?」「どうして?」って聞くことってとても大切なことだと思っています。
みんなのフシギを教えて!
では最後に、ファイナルミッションやりたいと思います!みんなが普段フシギに思うことってあるかな?
一つは、地球にはなんで重力があるのかということです。
もう一つは、地球にはなんで人がいるのかということです。
とってもいい疑問ですね!
フシギに思った時に、「この人なら最後まで付き合ってくれる」という人がいることはとってもいいことなので、学校のお友達やおうちの人の中でぜひ見つけて欲しいです!
なぜ宿題があるのか!
最高の質問だね。僕も小学校の時に気になって、先生に聞いた!
一番嫌いな答えが「ルールだから」っていう答え。それは許せなくて、なんでそのルールがあるのかってことまでずっと聞いてました。
宿題がなんであるのか納得できた方が頑張れる。
フシギは解決できると自分の力になるっていうのを、僕はすごく体験しました。
他にもたくさんのフシギが出てきました!
永田さんへの質問タイム!
最後に永田さんに子どもたちからの質問にお答えいただきました!
たくさんあった質問のうち、一部をご紹介!
ミドリムシを使った商品は、いろんな意見が出たと思うんですけど、どうやって一つの方向にみんなが向かえるようにしたんですか?
僕たちが大切にしているのは「正義の反対は正義だ」ということです。一つの意見、もう一つの意見はどっちも正しいよねということを前提にしています。
その上で、一緒にやるチームの中で「一番大切なこと」を決めています。その一番大切なことを実現するためであれば、自分たちの考え方を変えることもとても意味があるよね。
僕たちのチームではどうやるか・何をやるかということの前に、一番大切にすることを決めていました。
私たちみたいな子どもたちが世界を救うためにできることってどんなことがありますか。
自分たちで商品を選んだり、仕事をしたりするのはまだ先かもしれないけど、子どもたちは大人の行動を変えられると思います。
僕も子どもがいるからよくわかるんだけど、子どもの「どうして?」が一番効果的だったりします。
今商品を選んだり仕事をしたりしている大人に「どうして環境に良い商品を使わないの?」って聞くだけで、その人たちの行動って変わるかもしれないんですよね。
そうやって疑問を持つだけでも、世の中がよくなるんじゃないかなと思います。
みんなたくさん良い質問をしてくれました!
まとめ
科学のチカラで問題を解決するプロ・永田さんから、ユーグレナのことや新しい技術のことについて教えていただきました。
「本当に社会がよくなることに光を当てて、そこで頑張っている人たちが報われる社会にしたい」という永田さんの言葉、とってもかっこよかったですね。
子どもたちにはこれからも、「フシギ」と思う気持ちを大切にしていってほしいです。
経営者をはじめとしたさまざまな分野のプロから直接お話が聞ける機会は、子どもたちの好奇心に火を付ける貴重な機会。SOZOWのプロLIVEを今後もお楽しみに!
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