SOZOWからのリポート

【プロLIVE】松田文登さん(ヘラルボニー)が子どもたちに伝えたい「可能性(”異彩”)を解き放つこと」

経営者や活動家、クリエイターなどさまざまな分野のプロが毎月登場する、SOZOWのプロLIVE。

子どもたちは、各分野のプロが取り組むシゴト(仕事)についての話を伺い、気になることを直接問いかけて回答をもらうことで、それまでに触れることができなかった未知の世界に触れることができます。

今回は、株式会社ヘラルボニー副社長でCOO(Chief Operating Officer: 最高執行責任者)である松田文登さん際をゲストに迎えたプロLIVEの様子をお届けします。

ある日、松田家の自由帳に記述されていた「ヘラルボニー」といった言葉の謎…

「異彩を、放て。」といったミッションを掲げる理由…

活動するアーティストたちの生み出す作品や、その影響についてなど、ワクワクする話を聞かせていただきました!

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登壇者紹介

松田文登さん(以下、松田さん)

株式会社 ヘラルボニー 代表取締役副社長

ガイド:いのちゅー

「ヘラルボニー」ってどんな会社?

松田さん!

参加してくれてる子どもたちに、ヘラルボニーの紹介をしていただけますか?

日本全国にアートに特化した福祉施設があるのですが、その施設に在籍するアーティストさんの作品をドンドンと社会に発信していく会社です。

早速、子どもたちにヘラルボニーの作品を紹介してもいいですか?

はい!もちろんです!

ヘラルボニーの作品を紹介!

ものすごいカッコいいアート作品!

これは日本の職人さんとヘラルボニーのアーティストさんの力を掛け合わせたブランドの作品です。

実はいま、私がつけてるネクタイもこのブランドのものなんですよ!

人と違う個性を持つアーティストさんたち

「ヘラルボニー」という会社は一風変わった会社だと思うのですが、どんなアーティストの方々が絵を描いてるんですか?

先ほど紹介していただいた作品も含めて、重度の知的障害を抱えた方たちが描いたものなんです。

私たちは「障害」と聞いたときに暗いことを連想するのではなく、違いや個性という捉え方ができる社会にしていきたいと考えています。

あ、なるほど!

違いや個性がいろんなアート作品に落とし込まれているんですね!

ヘラルボニーにはどんなアーティストさんがいらっしゃるんですか?

全員で153名いらっしゃるんですが、今回は3名紹介させていただきますね。

まずは小林 覚さん。

小林さんは重度の知的障害を抱えているんですが、字と字をつなげてしまうという強烈なこだわりを持っているんです。

字と字をつなげてしまう!?

字と字をつなげて作られたのがこの作品なんです。(画像中)

作品タイトルは「数字」。

よく見てもらうとたくさん数字が書かれているんですよ。

そして、この作品が実際に岩手県の釜石市を走る電車のデザインとして使われているんです!

すごい!

人と違ったこだわりがアートに落とし込まれていて、それがたくさんの人が生活する場に入り込んで目に触れているんですね。

二人目はFumie Shimaoka(しまおかふみえ)さん。

実はこの真ん中の作品は「宇宙」を描いてます。

これがShimaokaさんの宇宙かぁ…!

実際にデザイナーさんとコラボして、その作品(画像右)がたくさんの人に届けられているんです。

(コメントを見ながら)あ、参加者の子から「きれい!」って言ってくれてますね!

独特の感覚で作品を作られている方が多いんですね。

最後に、三人目は小学6年生の柳生 千裕さんです。

もしかしたら、今日参加してくれている皆さんとあまり年が変わらないかもしれませんが、この子は自分なりに見た世界を作品に落とし込み、素晴らしいアートを作ってくれているんです!

この子も何かしら障害を抱えていらっしゃるんですか?

そうなんです。

小学校でも人と違うこと(障害を抱えていること)で、いろいろなことを言われてしまい自己肯定感が低かったそうなんです…

ところが、作品を作ることで自分を肯定してくれる人が出てくるようになり、いまでは自分に自信が持てるようになってきたそうです!

(コメントを見ながら)みんなも「すごい!」とたくさんコメントしてくれてますね!

ヘラルボニーに在籍するアーティストさんは、みんな”人と違う個性”を持ったアーティストさんたちなんですね!

そうなんですよ!

人間なら誰しも、できないことはたくさんあると思いますが、得意なことや個性がもっと受け入れられる社会を目指して私たちは活動しています。

できないところに目を向けるのではなく、人と違ったところや個性に目を向けて実際にアート作品を通じて発信しているんですね!

他にも素晴らしい作品があると聞いてます!

こちら(画像)は商品化されている一部です。

アーティストさんが描いた絵が、服やバッグのデザインに活用されて、しっかりアーティストさんに収入も入って来るようになりました。

最近、特に注目されたのは、2020年のパラリンピックにもヘラルボニーのアートが使われたこと!

障害を個性に変えて「異彩」を解き放つ

得意なことや人と違ったことに焦点を当てていくことを大切にしているヘラルボニーさんですが、特にみんなに知って欲しい言葉があるということで……

私たちは「異彩を、放て。」という言葉を会社のミッションとして掲げ、「障害」ではなく「異彩」と表現しています。

異なる彩(いろどり)で「異彩」は素敵な言葉!

私たちは、障害を持った方は普通ではないということをあえて強調するのと同時に「それは可能性だ」って一文も入れているんです。

その違いを「異彩」と定義し、社会側のイメージや概念を変えていこうと思っています。

「異彩を、放て。」はメチャクチャカッコいい五文字ですね。

この言葉はぜひみんなにも覚えてほしい!

みんなの「異彩」は?

みんな(参加者)はどんな時に「周りの人と違うなぁ」って感じる?

みんなの「異彩」を教えてほしい!

これは聞きたいですね!

自分の思ったことが他の人と違うこと!

ベロを縦にできる!

本を読んでると他の人の声が聞こえないくらい集中しちゃう!

おもしろい!みんないろんな違いを持ってますね!ありがとう!

松田さんイチオシのアーティストさん!

松田さんが特に気になっているアーティストさんが いらっしゃると聞いてますが?

そうなんですよ!

岡部さんという方なんですが、クレヨンで素晴らしい絵を描いてくれるんですが(画像中)、実は本作はそっちじゃなくて、クレヨンから出てきたカスで玉を作ることに夢中なんです(画像左)。

本人は「コロイチ」ってあだ名もつけてるみたいです 笑

彼の作品、水筒のデザインとして使われていたりして、アーティストとしての収入もあるんです。

だからこそ、自分の好きなことを仕事にしつつ、いつまでもやり続けることができているんです。

それはすごい!

絵ではなくコロイチを作るのに夢中なのも驚きですが、コロイチを作ろうと思う発想力もすごい!

まさにその発想力がアート内で「異彩」となって発揮されてるんですね。

みんなでプチアーティスト体験!

たくさん素晴らしいアート作品を見てきましたが、今度は今日、参加してくれているみんながアーティストとしてアート作品を作ってみよう!

お題に沿って自由にオリジナルの作品を作ってみてください!

いろんな模様のデザインを描いてみました!

空気の残像を絵で表現してみました!

みなさん、素晴らしいアート作品!

なぜ松田さんはヘラルボニーの活動を?

そもそも松田さんはなぜ、ヘラルボニーの活動を始めたんですか?

実は兄が先天的に知的障害を抱えているんです。(画像内中央)

小さいころから兄に対して「かわいそう」と言われることが多かったんですが、ぼくたち兄弟は兄を特異なものを見る目ではなく、見て欲しかったんです。

そう思っていたある時、兄と同じような障害を抱えた方のアート作品を見て感動したんです。

その時、「このようなアート作品を通じて、世の中に障害を持つ人の本当の力を広めていけたら兄の存在も肯定されるかもしれない」と、そう思ったんです。

松田さんの小学生時代のこの作文を見てもその気持ちの強さが伝わってきますね。

僕自身は障害を持っている人でもそうじゃない人でも大きな違いはないと思っていたんですが、兄と外を歩いているときに僕たちを指さして笑っている人がいたりして腹が立ったんです。

その時に感じた素直な気持ちをこの作文にしました。

その時の怒りにも似た気持ちが、障害者の方があ描いたアート作品との出会いにおける衝撃を強くしたんでしょうね。

ただ、気をつけたい点もあります。

障がい者の方が描いた作品を買うという行為が、どうしても支援や寄付と結び付けられてしまい、絵が絵としてしっかり評価されていない気もしたんです。

もしかしたら、本来ならアーティストとして活動できる人たちもそのような見方をされてしまうことで、活動できなくなっていて、そうさせてるのは「支援している」と思っている社会側なんじゃないかと感じたんです。

「支援」という言葉は「できない人たちを助ける」という意味を連想させやすく、かわいそうとか、マイナスのイメージが含まれていると思ったんですね。

もちろん「支援したい!」という気持ちは大切ですが、純粋にひとりのアーティストとして評価してほしいという想いが芽生えたんです。

だんだんとその想いが形になってきて、障害を抱えたアーティストさんの月の収入の平均が1万6千円ほどなのですが、ヘラルボニーのアーティストさんの中には月に何百万と収入を得られる人も出てきました。

ヘラルボニーの活動を通じて、ひとりでも多くの障害を持った方にアーティストとして活動できるようにしたいなと思っています。

松田さんが創り出す未来

松田さんは、どんな未来にしたいと思っていますか?

私たちは「できないことをできるようにする」社会ではなくて、障害を持った方でも得意なことで生きていける社会にしたいなと思っています。

苦手なことをできるようにさせられるのは厳しいこともありますが、得意なことに目を向けてそれを伸ばしていける社会は素晴らしいですね!

”すべての「異彩」が放たれる社会へ”を目指し、アートだけでなく様々な分野の異彩をもっと世の中に生み出していきたいですね。

みんなはどんな社会にしたい?

ヘラルボニーさんの目指す社会を聞いてきましたが、参加してくれている皆さんはどんな社会にしていきたいかな?

ぜひ教えてください!

お互いにできることを褒め合う社会!

絵をずっと描き続けられる社会!

どんな重い障害を持っていても差別されない社会!

みんな素敵な考えをありがとう!

子どもたちからの質問

最後に、子どもたちに松田さんへの質問を募集したところ、たくさん手が上がりましたので一部をご紹介します。

会社経営でつまずいたことは何ですか?

1年目のときは特につまずきっぱなしで大変でした。(笑)

「障害×アート」だとどうしても支援的な側面が強くなってしまい、企業として事業活動すること自体が難しかったんです…。

作品は公平に評価されてほしいという希望は抱いていたものの、アーティストの作品が認識・評価されるまでが大変で…

それを打開することが非常に難しかったんです…。

状況を打開するために、障害を持った人と社会を”結ぶ”という意味を込めてネクタイを作りました。

それからは、著名人や様々な企業とのコラボレーションを図りつつ、メッセージを配信することで実現したい社会を打ち出していったことで、徐々に今のような活動ができるようになってきました。

もし家族に障害を持った人がいなくても、会社はやっていたと思いますか?

正直やっていなかったと思いますねぇ…

障害を持った人が近くにいたからこそ気づけた問題がたくさんあって、障害者に対する社会の認識を変えたいなと思ったりしましたから、兄には感謝しています。

実は、日本には障害を抱えた方は960万人ほどいて、そのうち知的障害を抱えた方は110万人ほどいると言われています。

ぼくの周りにも家族で障害者がいる人が何人かいて、その多くが小さい頃から「違う扱い」を受けたことがあるということを聞きます。

そんな人たちの声も、ぼくが会社をはじめるきっかけになりました。

今後はヘラルボニーとしてどんな活動をしていきたいですか?

今後はカフェなどでヘラルボニーにいるアーティストさんが働けるようになるといいなと考えています。

日本では障害を抱えた人が、いわゆる健常な人たちと同等に働ける環境がまだまだ少ないのが実情です。

なので、カフェにヘラルボニーのアート作品を置くことで、お客さんたちと新しい交流が生まれるきっかけをつくり、障害を持った人でも普通の人と同じように働ける環境をつくっていきたいと思っています。

松田さんから子どもたちへ

では最後に、今日プロライブに参加してくれた子どもたちに、松田さんからメッセージをお願いします!

今日は本当に楽しかったです。ありがとうございます!

私自身、「障害」という言葉があることによって、社会との分断や違いを生み出してしまっているように感じていました。

「障害」に対して新しい捉え方や考え方ができるようになるには、今日参加してくれたみなさんの力や応援があるからこそだと思っています。

私たちが目指す社会は、アートを描ける障害を持った方だけが潤うのではなく、障害を持った人が町を歩いていても、みんながそっと手を差し伸べてくれるような社会です。

今後も町でヘラルボニーの作品を見かけたら、いろんな人に教えてあげてください!

まとめ

松田さんからご自身が務められている会社である「ヘラルボニー」について、所属するアーティストさんについてなど、たくさんお話ししていただきました。

人と違う個性や強みを社会に発信していく想いが込められた「異彩を、放て。」というメッセージはとても魅力的でした。

個性あふれるアート作品を前に、子どもたちがイベントの最後まで興味津々に参加してくれている様子が印象的でした!

月に一度のさまざまな分野のプロから直接お話が聞けるだけじゃなく、もしかしたら、みんなの質問にプロの大人が直接答えてくれるかも?

SOZOWのプロLIVEを今後もお楽しみに!

SOZOWでは、さまざまなゲストをお迎えして毎月プロLIVEを開催しています。

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