SOZOWからのリポート

【プロLIVE】60年続く伝統工芸を守りたい!「竹のお箸」を世界中へ 山崎彰悟さん(株式会社ヤマチク)

さまざまなプロから「プロとして」取り組むシゴトについて話を伺い、直接質問したり、今まで触れることが出来なかった未知の世界を体験することができるプロLIVE。

今回の記事では、ゲストに株式会社ヤマチク専務取締役 山崎彰悟(やまさきしょうご)さんをお迎えした様子をお届けします。

日本の和食は無形文化遺産にも登録されており、世界中から「お箸」に対する注目が高まりつつあります。

飲食店やコンビニでも気軽に手に入れることができる「割り箸」ですが、国内の年間使用量は、なんと250億膳にも上り、国民1人当たり約200膳を使っている計算になります。(環境省 環境/循環型社会白書より

ただ、国産の割り箸生産量は全体のわずか2%であり、残りの98%は主に中国からの輸入に頼っているのが現状です。

現在、中国では、森林破壊の危険性から資源保護の姿勢が高まっているため、これから先輸入割り箸の価格が上昇する可能性が高くなります。

飲食店で気軽に使え、使い捨てのため衛生的と考えられている割り箸ですが、このような現状を抱えているからには、割り箸が無尽蔵に使えるという思い込みを捨てなければいけません。

このように環境的配慮も求められるお箸ですが、みなさんは普段何でつくられた「お箸」を使っていますか?

プラスチック?金属?それとも木材?

一般的なお箸には、硬く耐久性に優れている「天然木」が使われており、他にも栗や欅(けやき)が使われているお箸も多く流通しています。

日本にはさまざまなお箸がありますが、山崎さんたちが作るのは、なんと「竹」でできたお箸!(たしかに「箸」という漢字には「竹」が入ってる…!)

しかもこのお箸、ミシュラン一つ星店で採用されたり、テレビ番組にも取り上げられた経験のある有名なお箸なんです。

さらに日本だけでなく、「okaeri」*が「Pentawards」や「ニューヨークADC」といった海外のデザイン賞を受賞し、国外でも高い人気を誇っています。

⋆「okaeri」とは、熊本県南関町にて「竹の、箸だけ」を作り続けてきたヤマチクさんが、「お箸の原点回帰」を目指して作ったブランドです。

軽く、しなりのある竹のお箸で、箸先にいくにしたがって四角く削り出しているため、転がらないのが特長。大人サイズだけでなく、幼児~小学校低学年サイズ(16~18cm)も販売されています。

👆2021年、ヤマチクの「okaeri」が世界で最も権威ある広告デザイン賞である「ニューヨークADC」のパッケージ部門に入賞!(【公式】ヤマチク Twitterより)

なぜ、山崎さんたちが作る竹のお箸は多くの人に親しまれ、国内外問わず高い評価を受けているのか。

今回のプロライブでは、竹のお箸にかける特別な想いや、60年以上続いてきた日本の伝統工芸のヒミツをたっぷりと語っていただきました!

プロLIVEの開催情報はこちら
過去のプロライブ記事は
こちら

登壇者紹介

山崎彰悟さん(以下、山崎さん):株式会社ヤマチク 専務取締役

リッキー:ガイド

「竹の〇〇」を60年以上作り続ける会社!?

今日は伝統工芸のプロの山崎さんに来ていただきました!

山崎さんは「竹」を使って”あるもの”を作っていると聞きました。いったい、何を作っているんですか?

僕たちは1963年に創業してから60年以上、「竹のお箸」を作り続けています!

竹のお箸!しかも60年以上も!?

日ごろから食事のときにお箸を使うと思うけど、みんなが使うお箸は何でできているかな?

プラスチック!

他にも「木」でできたものを使ってる人もいますね。

竹でつくられたお箸を使っている人はあまりいないようですが、どうやって竹でお箸を作るんですか?

山に生えている竹を切り出して一本ずつ棒状にし、ひとつずつお箸の形になるように削っていくんです。

👆職人さんの熟練された技術によって一つひとつ手作りで生まれている「竹のお箸」。この動画を見るだけでも、お箸に対する情熱や尊敬をうかがい知ることができますね。

機械を使わずに、一本ずつ作ってるんですね!

まさに、日本の伝統工芸*の成せる業ですね。

⋆一般的に「伝統工芸」の特長は以下の4つとされています。①日常生活で使われているものを作っていること。②工程の多くが手作業で行われていること。③高度な技術を必要とすること。④長く受け継がれてきた歴史があること。

”「古いもの」は人気がなくなっちゃう”って本当?

日本にはたくさんの伝統工芸品があるけど、みんなの周りにある「古くからある物」はどんなものがあるかな?

刀!

すだれ!

みんな、たくさんの意見ありがとう!

参加してる子どもたちからユニークな意見がたくさん出ましたが、「古い」と言われるとあまりいい印象を持たない場合が多いと思います。

時代の流れに合わなくなったり、より便利なものに取って代わられてしまった「古い物」は、どうしても人気がなくなってしまうものなのでしょうか?

実は「箸」という漢字に「竹」が入っているように、もともとお箸は竹で作られたものが主流だったんです。

でも、プラスチックや木など、作りやすく安価なものが流通し始めたこともあり、竹で作られたお箸を使う人が少なくなってきてしまっています。

そんななかでも、ヤマチクさんの作るお箸はすごく人気があるみたいですね。

ありがたいことに、世界中でたくさんの人が使ってくれています!

日本だけでなく、アメリカや韓国の有名なレストランで使っていただくこともあり、ミシュランの一つ星のお店でもヤマチクのお箸が採用されているんです。

イッテQなどのテレビ番組にも取り上げていただき、話題になりました。

ヤマチクのお箸をもっと知るためのクイズに挑戦!

みんな、ヤマチクさんの竹のお箸についてもっと知りたいよね?

そんなみんなのために、クイズを二問用意してくれました。挑戦してみよう!

いつもみんなが使ってるお箸は、持ち手の部分が太くて箸先が細いよね。でもこのお箸は逆で、箸先が太いんです。

この画像のお箸は、いったい何を食べるためのお箸でしょうか?

👆なんで持ち手じゃなくて箸先が太いんだろう?どんな工夫が隠されているのかな?

みんな、チャットでたくさんの意見ありがとう!

山崎さん、これは何を食べるためのお箸なんですか?

正解は、「納豆」を食べるためのお箸です!

え!納豆!?

どういうことですか?

パックに入った納豆を混ぜるときに、箸先でパックを刺してしまうことはないですか?

でもこのお箸を使えば、箸先が太いので間違えて刺してしまうのを防げるんです。

たしかに、刺しちゃうことめちゃくちゃある!

しかも、このお箸は箸先に細かい切り込みが入っていて、一度でたくさんの空気を含ませて混ぜられるので、ふわふわの美味しい納豆が食べられるんです。

すごい着眼点!

めっちゃ欲しい!って言ってくれてる人がたくさんいますね。

もう一問クイズがあるよ!

次のお箸は、普通のお箸より少し長いんです。

この長さのお箸は何を食べるためのお箸でしょうか?

👆お箸が長いとどんな良いことがあるだろう?みんなで考えてみよう!

今度はみんな苦戦してますね~

山崎さん、正解は何でしょうか?

正解は、「ポテトチップス」です!

ポテトチップス!?

なんでこんなに長いんですか?

手が汚れないようにするためにポテトチップスを箸で食べる人が多いのですが、普通の長さだと箸の長さが足りず下まで届かなくて、結局手の甲を汚してしまうんです。

でもこの長さなら、どこも汚さずにポテトチップスを食べることができるんです!

ちなみに、このお箸はお菓子会社のカルビーさんと共同で作りました。

カルビーPR部公式Twitterより画像引用)

お菓子会社と共同で作ってるんですね!すごい!

ヤマチクさんのお箸が世界中で注目されているのは、単なる伝統工芸ではなく、アイデアと工夫でより魅力的なものとして進化させてきたからこそなんですね。

「ポテトチップスを食べるためのお箸」のオンラインストアはこちら

「〇〇なお箸」!新しいお箸のアイデアをみんなで考えよう!

次はみんなの番だよ!商品のアイデア出しプチ体験〜!

みんなが普段食べづらいなと思うものを食べやすくするための新しいお箸のアイデアを教えてほしい!

いつも豆腐が食べづらいので、箸先を曲げたら食べやすくなると思う!

お箸とお箸の間にバネを入れてトングみたいにして、麺料理を食べやすくする!

👆他にもたくさんのユニークなアイデアが出ました!みんなナイスソーゾウ~!

みんなすごい想像力ですね!

チャットで発表してくれた人もありがとう!

「竹でお箸を作る仕事」を世界中に誇れる仕事にしたい!

ヤマチクさんのお箸の魅力をもっと知りたいのですが、山崎さんはなぜ今のお仕事をしようと思ったんですか?

株式会社ヤマチクは僕の祖父が創業し、今は父親が社長を務めています。その跡を継ぐために十年前に今の仕事を始めました。

そうだったんですね。

今のお仕事をする苦労を痛感した、ある出来事があったそうですが…

僕たちは一つひとつ手づくりで作るので、お箸を一つ作るのにも大きな苦労がかかります。この写真にある竹は18メートルほどあった竹を三分割にして運んでいるものです。

竹は一本あたり50キロほどありますが、山に生えているものを切ってトラックに運ぶまではどうしても手で運ばないといけません。

ちなみに、この写真に写っているような竹は一本いくらぐらいだと思いますか?

一万円とか五万円とか、子どもたちからたくさんの意見が出ていますね。

実はこの竹、一本500円なんです。とても安いですよね。

この仕事を始めたばかりだった僕は思わずこの写真の方に、「とても大変な仕事ですね」と言ってしまったのですが、その時に「世の中がうまくまわっていくためには、損をする仕事も必要なんだよ」と言われてしまったんです。

それが僕にとってはすごいショックでした。ビジネスなのでもちろん儲かることも大切ですが、何かを我慢しながら働き続けるのはすごく辛いですよね。

僕はその言葉を聞いて、竹で箸を作るこの仕事を、働く人たち全員が誇れるような仕事にしたいなと思いました。

👆伝統工芸品をただ製造するだけでなく、切子さんや竹材屋さんから発注・販売者、そして消費者へと繋がる”サプライチェーン”を意識した竹箸生産が行われているんですね!

素晴らしい想いですね。

売るための工夫や拘りは何か変わりましたか?

大切な人にプレゼントしたくなるお箸を作ろう!

今までは、作って欲しいお箸の注文を受けてそれをひたすら作って届ける消極的な方式だったので、正直どこの誰が使ってくれてどう思ってくれているのかがよくわからないことが多かったんです。

より僕たちの作るお箸を喜んで使ってくれるようにするために、僕たち自身が大切な人にプレゼントしたくなるようなお箸を作ろうと決めました。今でもその想いで商品開発を続けています。

その想いが届いて、今はたくさんの人がヤマチクさんのお箸を使っているのかもしれないですね。

実はこれだけでなく、より多くの人に竹のお箸の良さを実感していただくために、2023年の11月からカフェをオープン*します!

ヤマチクのお箸作り体験や、作ってる様子を見学できるイベントなども順次開催する予定です。

⋆カフェ併設にあたり、「アトツギ甲子園」(中小企業の後継者が、新規事業アイデアを競うピッチイベント)にヤマチクさんもエントリー!現在、200名近くの方から支援を受けているようです。

👆「ヤマチク」さんのインスタグラムでは、カフェの新設情報や新商品の発表、様々なイベント情報がたくさん投稿されています。ぜひ、のぞいてみてください!

「ヤマチク」さんの公式アカウントはこちら

すごいですね!

このカフェはどこにできるんですか?

ヤマチクの工場がある熊本県の南関町です。

ほかにも、商品を作るときにこだわっていることはありますか?

僕は「だれかの一生懸命」を大事にしています

お箸だけでなく、僕たちがふだん何気なく使っているものにも、誰かの膨大な努力や知恵が詰まっていますよね。僕は一緒に働く人たちに、努力がしっかりと報われるような仕事をしてほしいんです。

たとえば、先ほど紹介した納豆を食べるためのお箸は入社一年目の19歳の女性が考案したんです。彼女はめちゃくちゃ納豆が好きで、自分が好きなものをより美味しくみんなに食べてもらうにはどうしたらいいのかという試行錯誤が詰まっています。

自分の想いを言葉にすることで、より多くの人にその努力や想いを届けることができると思います。

「納豆が好きだ!」という個性を突き詰めた結果、あのような革新的な商品が生まれたんですね。

「竹のお箸」をもっと身近なものへ

最後に、山崎さんのさらなる夢を教えてください!

僕の夢は、たくさんの人にとって「竹のお箸」をもっと身近なものにすることです!

究極的には「竹のお箸」という言葉をなくして、「お箸と言ったら竹だよね」と思ってもらえるくらい日常に融け込むような伝統にしていきたいです。

素晴らしい夢ですね!

今日のお話聞いて、竹のお箸使ってみたいって思う人どれくらいいる?

すごいたくさんいる!とても嬉しいです。ありがとう!

ヤマチクさんの特別な想いや職人の方々の努力が詰まった竹のお箸、使ってみたいですね~!

様々な刺激的なお話を聞いた子どもたちが、山崎さんに対してどのような疑問や興味を抱いたのでしょうか?

子どもたちからの質問

子どもたちに山崎さんへの質問を募集したところ、たくさん手が上がりましたので一部をご紹介します。

竹のお箸に柄をつけることはできるんですか?

もちろん、柄を入れたりキャラクターを入れたりすることもできます!

本社(工場)が熊本県にあるので、くまもんとのコラボ商品も3月から販売予定です。(現在、予約販売中!)

最近だと、ロシアのウクライナ侵攻を受けて自分たちにも何かできないかと思い、青と黄色のデザインのお箸を作り、その売上の一部を寄付しました。

👆「平和への”架け箸”」というネーミングもすごくいいですよね!

お箸のアイデアはどうやって考えてるんですか?

僕は日ごろから「小さな違和感」を大事にしています。

外食などでお箸を使っているときに、「なんでこのお箸はこの長さなんだろう?」という違和感から「こうしたらもっと食べやすくなりそうだな」という発想を得ることで、新しい商品開発のインスピレーションを受けることが多いですね。

お箸に使ってる竹の種類はたくさんあるんですか?

実は、竹にはたくさんの種類がありますが、ヤマチクでは主に「孟宗竹(モウソウチク)」「真竹(マダケ)」の二種類の竹を使っています。

それぞれの竹に特長があるので、お箸を作るのにどんな竹が適しているかを考えながら選んでいます。

👆孟宗竹は材質部(竹の断面)が厚いことが特長。この厚みがお箸をつくるときにも重要なんだとか。

👆真竹は他の竹よりも比較的に細いことが特長。その形状から、建築や竹細工に使われることも多いそうです。

山崎さんから子どもたちへ

最後に、山崎さんから子どもたちへメッセージをお願いします!

今日は、たくさんの質問や意見を聞かせてくれてありがとうございました。

今日は竹のお箸をつくる背景や商品開発などについてお話しましたが、お箸に限らず、みなさんの好きなことやワクワクを大事してほしいです。

いつか、それが新しい商品や文化をつくることに繋がるかもしれません。

これからも、みなさんの心の中にある好奇心やワクワクを忘れずに持ち続けてくれたらうれしいです!

まとめ

日本の伝統である「竹のお箸」を60年以上つくり続けてきた山崎さんのプロLIVE。

竹のお箸を日本人にとって、世界中の人にとってもっと身近なものにするために、納豆やポテトチップスを食べるためのお箸のような、ユニークかつ人々の潜在的なニーズに寄り添った商品開発が行われていることがわかりました。

「竹のお箸をつくる仕事を誇れる仕事にしたい!」という言葉が特に印象的で、お箸自体だけでなく、つくられた背景や商品に込められた想いにも着目しようと思わされました。

これからも日本の伝統芸能を牽引する”文化”として、一人でも多くの人に竹のお箸を届けてほしいと思います!

月に一度のさまざまな分野のプロから直接お話が聞けるだけじゃなく、もしかしたら、みんなの質問にプロの大人が直接答えてくれるかも?

SOZOWのプロLIVEを今後もお楽しみに!

SOZOWでは、さまざまなゲストをお迎えして毎月プロLIVEを開催しています。

プロLIVEの開催情報はこちらをご覧ください!

ヤマチクさんのソーシャルメディア情報

🔽山崎さんが専務取締役を務める会社がもっとわかる!

株式会社ヤマチク ホームページ

🔽ヤマチクの最新情報がわかる!

ヤマチク 公式Twitter

SOZOWの各種ソーシャルメディア情報

ぜひ、フォローしてください!

🔽 公式・教育関連情報を投稿しています!

Twitter / Facebookページ

🔽 SOZOWの魅力を画像や動画を使って発信中!

 インスタグラム

🔽 各種アクティビティやリッキーチャンネルも…!

YouTubeチャンネル

🔽 採用や副業・副業に関する情報

 YOUTRUST

この記事をシェアする

オススメ記事