海外と日本ではこんなに違う!? これからの教育を考えよう【上松恵理子さん 保護者セミナー】
もくじ
こんにちは!SOZOW ライターのまーくんです。
今回は、7月25日にオンライン開催した武蔵野学院大学准教授の上松恵理子さんと、弊社代表の小助川による保護者セミナーの様子を紹介します。
登壇者紹介
上松恵理子
武蔵野学院大学准教授 東京大学先端科学技術研究センター客員研究員
中学校・高等学校勤務の経験からICT教育に新リテラシーを取り入れることの研究と実践に取り組む。日本や世界の小中校大の教育機関の調査研究や世界の最先端のICT教育の視察やプログラミング教育の調査を行う。『小学校にプログラミングがやってきた!』など著書を出版。
小助川 将
Go Visions株式会社代表取締役
2003年慶應義塾大学卒業後、戦略コンサルティング会社へ入社。株式会社リクルート、グリー株式会社、株式会社LITALICOを経て、2019年6月Go Visions株式会社を創業。
二児の父で、長男は最年少でWorld Robot Olympiad世界7位入賞し、現在はシンガポールの中学へ進学。長女はネットの高校「N高」に進学。
セミナー構成
今回の保護者セミナー、なんと600件近くの申込みをいただいただけでなく、事前に本当にたくさんのご質問をいただく大盛況イベントとすることができました。
まずは、そのことをご参加いただきましたみなさんへ感謝申し上げます。本当にありがとうございます!
さて、セミナーは下記の二部構成で行われました。
① 海外の先端教育事情等の紹介
② 「海外と日本の教育の違い」「これからの教育や子育てについて」といったテーマでSOZOW代表 小助川とディスカッション
【第一部】「世界の教育事情」の紹介(上松さん)
世界の競争力ランキング、日本は何位?
いきなりですが、クイズです。
世界経済フォーラムによる*世界の競争力ランキング(2022)で、日本は何位くらいだと思いますか?
*世界の競争力ランキングとは、「企業にとってビジネスをしやすい環境がどれほど整っているか」を基準に順位付けしたもので、2022年は世界の主要63カ国・地域の経済競争力を、「経済状況(パフォーマンス)」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4つの指標、300を超える項目から測定しています。
実は、日本は34位なんです。
やばいですね。(笑) ここからいえることは、私たちは既に他の先進国に遅れを取っている立場なので、もっと海外のことについて知っていく必要がある、ということです。
競争力ランキング2位のスイスの教育事例
以前、ランキングで第2位を誇るスイスのチューリッヒ大学情報学部長であるエンリコさんという方がいらっしゃいまして、わざわざ日本まで会いに来てくれたことがありました。
そこで、スイスで行われている教育についてたくさんお話を聞かせていただきましたので、その内容を共有いたします。
スイスでは教育に関する約25年に及ぶ経年調査が行われていて、たくさんの科学的な検証結果が出されており、データにもとづいた様々な教育が施されています。
ここでまたまたクイズです。スイスの学生のうち、何パーセントが高校に進学するでしょうか?
正解はなんと、20%だけなんです。
他の8割は、専門学校に進学したり企業に就職したりします。この数字は高校進学率が98%を超える日本とは大きく異なりますね。
スイスにはたくさん銀行があるのですが、銀行にいる頭取でも中卒の方が多いんですね。
なかには銀行に勤務してから金融に興味を持ち、高いモチベーションや目的意識を持った状態で大学で学び直してから再び銀行に戻る、なんて方もいました。
日本では「中学→高校」というルートが当たり前ですが、いったん社会に出てから高等教育を学び直す選択肢がスイスには用意されているんですね。
ICT化が当たり前、ニュージーランドの教育事例
ニュージーランドは、過去にEU統合やブロック経済の影響を受けて国家が破綻しかける危機に直面した国なのですが、今では世界競争力ランキングでは日本より上位の豊かな国になっています。
教育も諸外国と比較すると進んでいて、日本のような教育委員会や学習指導要領をはじめとした中央集権的な制度を廃止しました。
その結果、現場の決定権が強くなった結果、いち早くICT教育を導入することができたんです。
たとえば、音楽や技術、家庭科の授業ではICTの活用が当たり前になっており、教室で”ただ音楽鑑賞をする”のではなく、児童や生徒たちが自分のスキな音楽を自らの手を動かしプログラミング等を駆使し作曲するなど、アウトプットも意識したカリキュラムになっています。
👆デジタル教材を使って、教師が一方的に教えるだけではないインタラクティブな教育が行われている。
👆自分で手を動かして考えながら学ぶ実践的な授業がほとんど。
さらに驚きなのが、公立小学校の正規のカリキュラムに*FinTech(フィンテック)の授業が含まれているんです。
*フィンテックとは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動きを指します。身近な例では、スマートフォンなどを使ったキャッシュレス決済、暗号資産やクラウドファンディング等が当てはまります。
学校の先生に「なんで授業で仮想通貨を扱っているんですか?」って聞いてみたこともあるんです。そうしたら「もう今は紙の現金の時代じゃないから、お金の危険性も含めて小さいころからしっかりと教えることが大事なんだよ」と言われました。
保険の重要性についても教えていると聞きました。生きていく上で本当に必要な教育が小学校という公教育の場で当たり前のように行われているんです。
もう少し紹介すると「BYOD(Bring Your Own Device)」といって、個人が自由に自宅で使っているパソコンを持ち込んで勉強したり、同じ学校同じ学校に通っていても人によってカリキュラムがまったく違ったりするんです。
個人のデータもクラウド化・パーソナライズ化されているので、個人に適した学びができるようになっており、日本の学校のように教師が一方的に教えるという授業スタイルは少ないんです。
シアトルの教育から学ぶべき教育法
シアトルの教育事例も興味深くて、教科によって違うパソコンを使っています。もはや一人一台は当たり前で、いろんなことを検索したりしながら授業をしています。
👆家庭用と学校用でパソコンを使い分けている。授業中も適宜、検索などで学習を進めている。
小学生で(プログラミング言語の)*Python(パイソン)も学んでいて、学校のカリキュラムのレベルも非常に高いんです。
⋆Pythonとは、組み込み開発、WEBアプリケーション、デスクトップアプリケーションなどで利用される言語。
これまでたくさん海外の事例を紹介してきましたが、やはり重要なのは時代の変化に合わせて保護者の考え方もアップデートすること。
さらに大事なのが、日本の教育レベルに合わせるだけではなく、海外の事例も参考にしながら徐々に(要素からでも)取り入れていくこと。
日本だけでなく世界全体を見ながら、お子さんと一緒にこれからの教育について考えてみていただきたいなと思います。
【第二部】
上松 恵理子 ✖ 小助川 将 対談
第二部は本イベントに参加した方々が普段の子育てや教育に対して抱いている疑問を事前にアンケート形式で収集し、それを集約したものをテーマとして対談を行いました。(※本記事はイベント内容の一部を抜粋して制作しております。)
海外と日本の教育について
先ほど上松さんから海外の教育事情についてたくさんの事例を紹介していただきましたが、やはり多くの方が日本に住んでる以上、お子さんも日本の教育環境で学ぶことになると思います。
上松さんは日本で学ぶことの良さ・利点をどのように考えてますか?
まずは給食も含めて、安全な食べ物が充実してますよね。これは成長期のお子さんにとって重要なことでしょう。
あとは、日本人は子どもでもマナーがしっかりと身についています。
以前にシンガポールに行った際、教室がきれいでビックリしたのですが、どうやら日本のお掃除の文化をマネしたようで、ドバイでも学校で掃除をする文化を日本を参考にして取り入れているようです。
そして、今はインターネットが普及していますから日本にいながらMIT(マサチューセッツ工科大学)などの世界中の名門と呼ばれる大学などの高等教育を受けることができます。翻訳機能もあるので、英語の教材でも問題ありません。
何がいいたいのかというと、お子さんも保護者の方も興味さえあればスマホ一台で世界最先端の教育を受けることができるんです。
世界から注目されている日本の良さもあるんですね。
ちなみに、教育の側面ではどうでしょう。給食とお掃除以外で日本の良さや誇れる特徴はありますか?
正直、なかなか思い当たらないですね…
日本ではドリル学習のような反復学習が主流ですが、本当に良くないと思います。
みんなと同じような学習を強いるのではなく、もっといろんなことにチャレンジできて自分の得意なことを伸ばせる教育が行われるべきなんじゃないかと個人的には考えているところです。
ニュージーランドの一部の小学校では、ひとつの教科のなかで自分が特に関心のあるコースが選べるんです。
国語だけでも4つくらいあるようで、日本のようにずっと同じ教室にいてみんなと同じことを学ぶなんてことはあまりないんです。
日本と全然違いますね。
子ども自身が自分で選びながら教育を受けられる仕組みは、今の日本の義務教育に導入するのは現実的になかなか難しそうだなと感じました。
ちなみに、SOZOWを利用してくれている子どもたちに、何の教科が好きか聞いてみたことがあるんです。
そうしたら、図工や体育が圧倒的に多かった。なぜかというと、枠組みがある程度ありながらも、自分で裁量を持って、やることを自由に変えられるんですよね。
「同じものをみんなで作りましょう」だと、人と比べて自分は下手だな…と自己肯定感を下げてしまうかもしれません。
しかし、子どもたちがクリエイティビティ(創作性、創作意欲を掻き立てられて行動してしまうこと)を発揮できる機会を望んでいるんだなと思いました。
これからの教育や子育てについて
「好きなことがすぐに変わって深堀りしないのですが、親としてどうかかわっていけばいいですか?」という質問をいただきました。
上松さん、どうお考えですか?
好きなものがあるってステキじゃないですか!
好きなものがなくて悩んでいる子がたくさんいるなかで、好きなことにたくさん触れて自分の興味を広く伸ばせているのは素晴らしいことです。
今は深堀りできていなくても、そのうちに極めたいことが見つかるはず。
それまで根気強くいろんなことをやらせてあげると良いのかなと思います。
過去から現在までに触れてきたいろんなことが未来に繋がっていくこと、十分にありますよね。
子どもへの接し方でいうと、保護者側の考え方を少しアップグレードしてみるといいのかなと思います。
「一つの物事をやり通さなければならない」といった認識は、諸説あるものの、我々世代が教科書で習った「士農工商」が背景にあるのではないかと言われています。
強制的に身分(職業)が決められていたため選択肢がなく、身分に応じた技術を深めていく他になかったからこそ育まれた認識だと。
もちろん、好きなことをとことん極めて行きたい子はそうすればいいと思いますが、何かひとつに決めなくてはいけないと考える必要はないはずです。
保護者の方もお子さんの興味を抱く対象が変わったなら、それを一緒に楽しみつつ一緒に学んでいけるといいのではないでしょうか。
大人でも*リスキリングや*リカレント教育が叫ばれる時代ですし、学びの場や機会は柔軟に幅広く持てること自体がすばらしいことだと思いますよ。
他にも「最近導入されたプログラミング教育はなぜ必要なんですか?」という質問をいただきました。上松さんはどう考えますか?
⋆リスキリングとは技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、業務上で必要とされる新しい知識やスキルを学ぶことをいう。
⋆リカレント教育とは、学校教育からいったん離れたあとも、それぞれのタイミングで学び直し、仕事で求められる能力を磨き続けていくことをいう。
ひとことでいうと、プログラミング教育をやってない国って先進国で日本だけなんですよね。
今の日本にはITに造詣の深い人が不足していますし、これからの時代を生きていくならシステムやデザインまで理解できていると将来の仕事の選択肢も広げていくことができます。
小さいうちから自分がコンピュータに使われているのではなく、自分がコンピュータに向けて指示を出し活用する感覚を身につけておくことが大切ではないでしょうか。
強く同意します。
正直、日本のプログラミング教育の導入は遅いくらい。
ただ、全員がエンジニアやプログラマーになる必要はありませんよね。
プログラミングの良いところは、面倒くさい課題を解決したり、自分の作りたいものを作るためのツール(手段)としてすごく使い勝手がいいところ。
大事なのは、スキルとしてのプログラミングよりも「何かを楽にしたい!これを作ってみたい!」という知的探究心や自らの願望を叶えたいという考えや想いを叶えるためのツールとして利用できることです。
上松恵理子のモバイル教育事情
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