好奇心と非認知能力 〜令和時代の教育・受験のキーワード〜【中曽根陽子さん対談】
もくじ
2021年12月9日(木)に開催された、教育ジャーナリスト 中曽根陽子氏 × Go Visions代表 小助川将の保護者向け対談セミナー「好奇心と非認知能力 〜令和時代の教育・受験のキーワード~」。
「これからの受験のポイントは?」
「子どもの能力を伸ばすには?」
など、当日のイベント内容から気になるポイントをピックアップしてお届けします。
実際のセミナーの様子をご覧になりたい方は、記事の最後に動画を公開しておりますので、チェックしてみてください!
登壇者紹介
中曽根 陽子
教育ジャーナリスト
有限会社マザークエスト 代表
当時、出産のため小学校を退職し企画編集会社を立ち上げ。子どもの中学受験を機に教育分野へシフトし、教育ジャーナリストとして紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。
これまでに首都圏・関西圏の中高200校を取材。偏差値だけに頼らない学校選びを提唱している。
2013年、「新しい時代をデザインする」母親の力を育てるための学びの場「マザークエスト」を立ち上げる。
近著に『1歩先行く中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)、『子どもがバケる学校を探せ!中学校選びの新基準』(ダイヤモンド出版)など。
小助川 将
Go Visions株式会社代表取締役
2003年慶應義塾大学卒業後、戦略コンサルティング会社へ入社。株式会社リクルート、グリー株式会社、株式会社LITALICOを経て、2019年6月Go Visions株式会社を創業。
二児の父で、長男は最年少でWorld Robot Olympiad世界7位入賞し、現在はシンガポールの中学へ進学。長女はネットの高校「N高」に進学。
セミナーテーマ
今回のセミナーも、500名を超えるお申し込みと、100件以上の事前質問をいただき大盛況となりました!
子育てに悩む親御さんからいただいた質問をもとに決定した、セミナーのテーマは3つ。
令和時代に求められる力とは
本日は対談テーマを3つ。
一つ目は「子どもたちが令和に求められる力とは」ということですが、以前まではどのような力が求められてきたのでしょうか。
「協調性」から「主体性」へ
これは第一線で働いてこられた小助川さんにぜひお話いただきたいんですけれども、やはり今までは指示されたことをこなす力が求められてきたのかなと思います。
私が社会人になったのが20年ぐらい前なんですけれども、指示されたことをミスなくやること、集団行動、協調力がかなり問われていたと思います。
10年ほど前にリクルートにいて、人事組織コンサルをやっていたんですけれども、ちょうど社員の主体性が求められるようになってきた時期だったかなと思います。
言われたことをやるというよりも能動的に動く主体性というのが採用のテーマに変わってきたころだったかなと記憶してます。
私も人事の方のお話を聞くことがあるんですが、一部ではどんどん意欲的にやっていく学生さんがいる一方、すごく優秀だし真面目だし素直だけれども、失敗することをすごく恐れてしまったり、自分からチャレンジしなかったりという若い人も多いと聞きます。
そうなるべくして育ってきたという側面があると思うのと同時に、教育にはタイムラグがあるということなんです。
親世代が信じてきた常識がなかなか拭えず、出る杭は打たれるというような価値観が子どもたちにも伝わってしまっているのかなと思います。
同感ですね。
これから求められる力は、小助川さんがおっしゃったように自ら考えて行動できるとか、いままでにない新たな価値を創造していけることです。
この先、何が起こるかわからない世の中で、自分で人生を切り拓いていくしかないわけです。
さらにいえば、「地球市民である」という感覚を持っていることも大事だと思います。
実は教育先進国の中ではもう学力以上に、非認知能力を身につけることだったり、個人、そして地球全体のウェルビーイングを目指すことが重要になってきています。
日本ではまだそういった感覚が浸透していないかもしれませんが、世の中の流れは変わってきているということをお伝えしておきます。
昭和や平成の初期よりも変化の激しい時代、人の意見に左右されずに自分で考えて切り開く力が大事だということですね。
先ほどもキーワードとして出てきた非認知能力ですが、いろんな力があると思います。
中曽根さんが考える非認知能力というのは具体的にどういったものが挙げられますでしょうか。
「非認知能力」とは
非認知能力とは数値化できない能力のことをいうわけなんですけれども、いわゆる意欲や好奇心、頑張りぬく力、それから自制心や自立心、コミュニケーション能力のようなものも含まれます。
テストで測れないけれども、こうやって並べてみると生きていく上で一番大事な力かなって感じますよね。
例えばクリエイティブ、創造力が得意な人もいれば、協調性やコミュニケーション力が強い人もいる。非認知能力も人それぞれだなと思ってます。
人の能力というものは本当にそれぞれであって、多面的に見ることが大切なんですよね。
生まれながらの資質もあるし、環境の中で育つものもある。
お子さんのことも、学校のテストの評価とかがすごく気になると思うのですが、ものさしが一つしかないとその子を見る目が狭まってしまう。
できるだけ多面的に能力を捉えて「こんないいところがある、強いところがある」というのを見つけられるようにした方がいいでしょうね。
あとは短期的な成果を求めるのではなくロングスパンで見ることも大事なのかなと。
非認知能力って目に見えてすぐに成長するものではないので、短期的な成果しか見ないとテストの点数が一番にきてしまうので。
これまでの教育・受験の常識はどう変わる?
では続いてトークテーマ2にまいります。
「これまでの教育や受験が非常識になる」とはどういうことなんだろうというテーマ。
事前の質問もかなり多く、皆さん気になっていることがヒシヒシと伝わってきます。
まずは、受験に大きな変化はあるの?というところはいかがでしょうか。
思考力・判断力・表現力を問う入試へ
まずは大学受験が変わるというところ。
実際にセンター入試が共通テストに変わりましたね。
大きな流れとしては日本も教育改革をしていくと方向にあるといえます。
文部科学省の方にお話を伺ったんですけれども、かなり本気で変えていかなければ(ならない)ということでした。
10年ぐらい前から言われているのがやっと変わってきているという段階で、大学入試が本格的に変わるのは2024年からだと言われています。
それはなぜか。
新しい学習指導要領で学んだ子たちが受験するのが2024年だからですね。
その学習指導要領は、ただ知識をつけるのではなく、思考力、判断力、表現力を育てるというものなので、入試についてもそういった教育の成果を測るものになるということです。
大学受験について私からも違うファクトをお伝えします。
私が二十数年前に受験をしたときは、大学入学者に占めるAO入試・推薦入試の割合が15%〜18%ぐらいだったんですね。
それが2020年には45%にまで膨れ上がっているんです。私立の大学だけ抽出すると56%に上りますし、東大や京大でもAO入試3割が目指されています。
大学の入試が変わることによってこれから学び方の選択肢も増えるのかなと思っています。
自分のやりたいことに意欲的に取り組んでいる人にとってはチャンスが広がるということですよね。
「この大学で何を学びたいのか」といった主体性が求められるといえます。
逆説的ではありますが、それがない(主体性を持ちづらい)人にとっては非常に狭き門になっていくといえます。
六大学の学長とお話しして印象に残っているのが、日本では大学に入ることがゴールになってしまっていて、入ってからは遊んでしまう人が多いということです。
AO入試などを広げて、本気で学びたい人をウェルカムにしていかないと、日本の大学が没落していく、と危機感を抱いてらっしゃいました。
「偏差値」は使い方次第
これまでの偏差値を基準とした教育はどうでしょうか。これも質問の多かったトピックです。
これ…
みなさんとても大変だと思うんですよ。
変わらなきゃいけないということにはなっていますが、やっぱりそうは言っても偏差値は気になりますよね。
教科書レベルで知識を押さえていくこともまだまだ必要な一方で、新しいものも出てきている。それが混在しているのが”いま”です。
もう目の前に入試があるんだという方は、推薦なのか教科学習なのかをどっちでやっていくのかを決めて、戦略的にやっていくことも必要になります。
あとは受験に向けたモチベーションも大切。
「どうしてもここにいきたい!」という気持ちがあると、その学校の入試でやらなければいけないことは短期集中でがんばろうということにもなるので。
偏差値よりも本人のやりたいことが先にあればいいんじゃないかと思いますね。
偏差値を高めるというのは手段の一つに過ぎないですよね。
目的があった上で、大学に行くために必要だから勉強する。
自分が入りたいところまであとこれぐらい必要というふうに、あくまで自分の位置をチェックするツールとして使うものかなと思います。
「いい大学に行かなきゃ」って親が言いすぎたことで、勉強したくない、学校に行きたくないってなってしまった例もこれまでたくさん見てきています。
偏差値を人と比較すると、親子関係も悪くなってしまいかねませんから、使い方次第だなと思いますね。
もう一つ偏差値の弊害というところで言うと、偏差値の高い学校が良くて低い学校はダメだという価値観を刷り込まれてしまってる気もしますね。
同じ偏差値だったとしても環境は全然違いますから、自分にとっていい環境なのか、共感できる理念があるのかということの方が偏差値以上に重要なのかなと思います。
話は尽きませんが…
つづいてテーマ3に移らせていただきます。
非認知能力と好奇心を育むために、今後はどのように子どもたちへ関わっていけば良いのかというところ。お願いします。
子どもの非認知能力を育むかかわり方
私の本にも書いていることなんですが、焦らない、決めつけない、コントロールしないということをやっていただきたいと思います。
やはり親は、早く形に見えるように成果を出してほしいと思いがちなんですけれど、子どもの育ちってそんなに簡単にはいかないんですね。
決めつけないというのはいい意味でも悪い意味でもです。
「うちの子全然ダメなんです」という決めつけも子どもの能力を狭めてしまうし、「もっとできるはずだ」という決めつけもプレッシャーを与えてしまう。
ありのままをどう受け止めるかっていうところかなと思います。
どうなって欲しいかというのはひとまず置いといて、子どもが興味を持っているものをしっかりと見ていくことが必要なんじゃないかなと思っています。
本当にそうですよね。
私は好奇心を大事にした学びを届ける習い事、スクールをやっていますが、「うちの子どもはやりたいことないと思うんですよ」っていう親御さんもよくいらっしゃいます。
それは親の思う「やりたいことをやってる人物像」があるからだと思うんですね。
明確な夢を追いかけてるアスリートとか。
でも、子どものことをちゃんと見ていくと、家で暇なときに夢中にやってることって必ずあるんですよ。
YouTubeで魚釣る動画ばっかり見てる子とか、昆虫の動画見てる子とか。
他にも人と協力するゲームが好きとか、本当にいろいろあるなと思うので、色眼鏡で見ないというところがまず出発点かなと思います。
今まで私たちが関わったお子さんでいくと、マインクラフトが好きだった子が、算数や数学すごく好きになる例とかあるんです。
好きなことからどんどん広がっていくなと思います。
私たちはついついダメ出しをしますけど、まずは好きなこと、得意なことを認めてあげる。
さらに、それを伸ばす声かけの方が効果的だなと思いますね。
やっているうちに不得手なところができるようになることだって十分にあるわけです。
まとめ
変化の激しい今の時代、教育も大きく変わろうとしています。
これからの時代を生きる子どもたちにとって重要な非認知能力を育て、子どもの個性を伸ばすために、「焦らない、決めつけない、コントロールしない」を大切にしていきましょう。
対談の内容を動画でご覧になりたい方はこちらから!
中曽根さんは教育や子育てに関する著書を多数出版されています。令和時代の教育や受験についてさらに知りたい方はぜひご覧ください!
▼「成功したいなら『失敗力』を育てなさい』(晶文社)
「一流大学卒業→一流企業に就職≠幸せ」ということに気づいていない偏差値至上主義のお母さん。分かっているけど学力偏重の考え方から抜け出せないお父さん。勉強以外のことは何でもやってあげるお母さん。
そんな迷える保護者の皆さんに、社会・教育の現状やグローバル時代に必要な力をわかりやすく解説し、親の役割を説く。
https://www.shobunsha.co.jp/?p=3799
▼『成功する子は「やりたいこと」を見つけている 子どもの「探究力」の育て方』(青春出版社)
デジタル化が進み、社会が目まぐるしく勢いで変わる中、「どれだけ知っているか」の暗記型知識は通用しなくなっています。これからを生き抜く子どもたちに必要なのは、「何がやりたいか、何ができるか」を考え、自分で道を切り開いていく力。その力の源となる「探究力」を育てる方法を、教育ジャーナリストの著者が豊富な取材とエビデンスに基づいて説く一冊。
http://www.seishun.co.jp/book/22944/
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