【保護者向け】永田 暁彦(元ユーグレナ社CEO)子どもに欲求のタネを与えるのが大人の役割
今回は、2021年7月30日に開催された、元ユーグレナ社取締役 永田暁彦氏×Go Visions代表 小助川の対談の内容をお届けします!
経営者であり二児の父親でもある両名に、これからの社会の変化や子どもが幸せになるために必要な力や親の関わり方などを語っていただきました。
登壇者紹介
永田さんは、ご自身の子育てや子どもの将来について考える中でSOZOWのサービスに共感してくださり、今回の対談が実現しました。
永田さんは現在、株式会社ユーグレナの取締役副社長を務めながら、「リアルテックファンド」の代表として、研究開発型の革新的テクノロジーを生み出す企業への投資をされています。
永田 暁彦
二児の父
リアルテックホールディングス株式会社 代表取締役
元株式会社ユーグレナ 取締役副社長
ユーグレナ社の副社長兼ヘルスケアカンパニー長として、食品から燃料、研究開発など全ての事業執行を務める。
日本最大級の技術系VC「リアルテックファンド」代表を務め、地球や人類の課題解決に資する研究開発型の革新的テクノロジーを生み出す企業への投資をおこなっている。
小助川 将
Go Visions株式会社代表取締役
2003年慶應義塾大学卒業後、戦略コンサルティング会社へ入社。株式会社リクルート、グリー株式会社、株式会社LITALICOを経て、2019年6月Go Visions株式会社を創業。
二児の父で、長男は最年少でWorld Robot Olympiad世界7位入賞し、現在はシンガポールの中学へ進学。長女はネットの高校「N高」に進学。
経営者の二人の子ども時代とは?
経営者として新たな事業を創造する両名の子ども時代とはどのようなものだったのでしょうか。意外な共通点にも注目です!
ー子ども時代の親御さんとの関係性や印象に残っていることはありますか
僕は12歳から寮に入っていたので、両親と過ごしたのは12年間ですが、今でも両親とは仲良しです。
人生で親に怒られたことは1回しかなく、それが印象に残っています。15歳か16歳のときに両親と出かけたとき、マナー違反について烈火の如く怒られた経験があります。
人に対する接し方やマナーについては厳しく言われていましたが、「勉強しなさい」「宿題やったの?」と言われたことはありません。
共通点があるなと思いながら今のお話聞いていました。僕も中学を卒業して寮に入ったので、15歳で親元を離れました。
秋田県の田舎出身なので、高校に行くには一人暮らししか選択肢がありませんでした。
それからもう一つの共通点が親から「勉強しなさい」と一度も言われたことがないことです。基本的にほとんど干渉されませんでした。
ただ、一度だけ父親に「この大学に行きなさい」と言われたことが印象に残っています。その時はうまく言語化できなかったのですが、無性にそれが嫌で「自分で決める!」と親に意見したことを覚えています。
そのあとすぐ「悪かった。お前の人生だからお前が決めてくれ」と言われましたね。
ー親御さんに言われて印象に残っていることや感謝していることはありますか?
今の僕が現状にこだわらずどんどんトライできているのは、親が「好きなようにやれ」というスタンスでいてくれたからだと思っています。
もし世の中の一般的なエリートになって欲しいのなら、このアプローチは正しくないかもしれないです。ただ、「どこにいても幸せな人」を育てるのなら、親のアプローチは正しかったと思います。
自分がどんな状態になっても「この人たちは自分のことを受け入れてくれているんだ」という安心感が、今でも自分の人生を底支えしてくれていますね。
僕自身、学校をやめたいと言ったことや学校に行けなくなったこともありました。しかし常に、「社会的に良しとされていることから外れても大丈夫だよ」と受け入れてくれているという安心感がありました。
父は知り合いが街中にたくさんいて、色々な大人と触れ合わせてもらっていました。母から言われて印象に残っている言葉は「他人が嫌な思いをすることだけはするな」ということです。
印象に残っているのは、看護師である母の職場に一度行ったことがあって、そのときに誰に対しても分け隔てなく接している母の姿をみたことです。
「人と比較しない」というのはそういうところからも影響を受けているかもしれません。
時代の変化に対応できる人間になるには
これからの時代や社会の変化について、経営者そして父としての視点でお話いただきました!
ーお二人はどのようにこれからの10年後、20年後の未来を見ておられますか?
劇的に変化する世の中、「VUCA*」と言われるような時代ですが、1000年以上前から「諸行無常」と言われています。
日本では数十年に1回震災が起きるし、経済危機も20年に1回は必ず起きます。今が劇的に変化しているわけではなくて、昔からずっとVUCAなんです。
変化している、先が見えないのが当たり前という前提の下で、僕が考えていることが二つあります。
まず一つは、絶対に予測できることに対して自らの意思決定を変えることが重要であるということです。
実は未来を予測することにおいて大切なのは「正確に予測すること」ではなく、「99%起きることに対して現状を変化させること」です。
例えば、FAXがなくなることはほぼ確実ですよね。だけど、その中で「変えない」という判断をし続けていることが問題なんです。
変わることが予測できていても、今を変えることは人間にとってストレスなので、変えることを意思決定できる人は実はそんなに多くありません。
しかし、絶対に変わると分かっていることに関しては、意思を持って変化していくことが大切だと思います。
二つ目は、「人生は不確実だ」という前提で生き残る術を会社や家庭、子どもに対して実装していくことです。
生物学で考えると、環境変化に対応するために、単一種だけでなくいろんな種類が生まれてきますよね。
地球が温暖化すると、冷たいところでしか生きられない種は絶滅してしまうかもしれないけど、暖かいところでも生きられる種は生き残ります。
つまり、多様性とは生存戦略です。
個人に置き換えると、これは一人の人間の中に多様な軸を持つことが大切です。もし偏差値至上主義という軸だけで生きていると、東大に入れなかったらそれで終わりになってしまいます。
これらを踏まえて、僕は家庭でも積極的に変化を取り入れ、多様性に対する許容度の高めることを目指す生活をしています。
*VUCA:Volatility:変動性 Uncertainty:不確実性 Complexity:複雑性 Ambiguity:曖昧性 の頭文字を取った造語で、先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態を指す。2010年代から昨今の変化が激しく先行き不透明な社会情勢を指して使われるようになった。
社会で当たり前と言われていることって、40年ぐらい前に多くの人が信じていたことを引きずってしまっていることが多いんですね。
社会の変化のきっかけとなるのは震災や天災、または世代交代しかないと思っています。
なので、今の子どもたちが夢中になっていることが10年後、20年後の当たり前になっていくんじゃないかなと思います。
今の子どもたちをちゃんと観察していれば、未来の当たり前が見えてきたり、子どもたちから学んだりすることもあるのではないでしょうか。
子どもの「欲求のタネ」をつくる
時代の変化に対する考えを踏まえた上で、お二人は教育についてどのように考えておられるのでしょうか。
ー教育に対するお二人の考えを教えてください。
僕が子どもと接する上で大切にしているのは欲求のタネを作ることです。
英語を学ぶということを例にあげると、「英語を勉強しなさい」とか「英語を勉強したらこんないいことがあるよ」と親がいうのではなく、「父ちゃんが海外に行って自分がしゃべれない言葉をしゃべっているから、自分もしゃべってみたい!」というような、純粋な子どもの欲求のタネを大切にしたいんです。
欲求のタネが結果的に「学びたい」「高等教育を受けたい」という方向につながれば、子どもは自分の中にエンジンを持つことができます。
そのタネの作り方が今の教育では間違っているんじゃないかなと思うこともあります。「夢を持ちなさい」と言われても夢を持つ人なんていないんじゃないでしょうか。
自分が今一番大切にしているのは、子どもにとってエンジンとなるような、もっと根源的な欲求の部分をどう作るかということです。
このSOZOWという学びの場を応援したいと思っているのは、とにかく選択肢を増やしたいという思いがあるからです。 僕は現在田舎に住んでいますが、田舎に住んでいると教育の選択肢は公立の学校しかなくなってしまいます。
SOZOWが100%最高な選択肢かどうかは分からないけれども、子どもの想像力や欲求が生まれるきっかけとなりうるものを、親としてどれだけ揃えてあげられるかということにこだわっているんです。
子どもたちにとって選択肢が少ないなというのは本当に思います。
公立の学校は生まれたところや住んでいるところで決まってしまうし、別のところに行きたいなら引っ越さなくてはならない。かといって私立となると学費の問題もあります。
子どもや家族にとっての選択肢が本当に少ないですよね。
それから、子どもの評価軸が偏差値や運動能力ぐらいしかなく、多様性がないということも問題だなと感じています。
そこで、親として「学びの選択肢が少ないな」思った時に、家庭で普段の学校や地域とは違う経験をさせてあげることが大切ではないでしょうか。
海外に連れていったり親の好きなことに子どもを巻き込んだり、色々な環境を見せてあげる中で、子どものエンジンがどこかでかかることはあると思います。
親自身も人生を楽しみながら、子どもの学びの選択肢を増やして欲しいです。
子どもに対して「夢を持って欲しい」と思っている方は多いのですが、自分の夢ややりたいことがある親御さんは少ないんです。
子どもに「どうなってほしいか」ではなく、自分自身が好奇心に基づいてやりたいことをやれているのかどうかということが子育てにおいては非常に大事なんじゃないかなと思います。
最後にお伝えしておきたいのが、僕はすごく不安なんです。
自分が子どもに対して本当に適切なことをしてあげられていると100%の自信を持っていうことはできないです。
自分自身経営者ということもあり、こうした場に呼んでいただく機会があるのですが、子育てに対して確信的な何かを持っているわけではありません。
不安だからこそ多様な場を求めていますし、他の保護者のみなさんと同じように、一生懸命一つひとつ選んでいるんです。
これが正解だというふうには思っていないのですが、同じように不安を持つ保護者の方の参考になればなという気持ちです。
まとめ
経営者である永田さんも、子育てに対して不安を抱えながら向き合っているとのこと。
不安だからこそ「学びの選択肢を増やしたい」「多様な場を求めている」という言葉は印象的でしたね。
子育てに悩みながら試行錯誤をする、一人の保護者としての永田さんのお話にはヒントが詰まっていたのではないでしょうか。
「子どもに夢を持って欲しい」「幸せに生きていって欲しい」と思っている方は、ただ「夢を持ちなさい」というだけではなく、
・子どもにたくさん選択肢を与える
・子どもの欲求のタネを大切にする
・親自身が自分の人生を楽しむ
ということを大事にしたいですね。
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