これからの教育について考えたい

【保護者向け】「子どもは何かへ夢中になるべき」経営者パパ4名がそう考える理由とは

今回は、2021年6月21日に開催された経営者パパによる子育てトークイベント「保護者2.0」の内容をお届けします。

正解や決まったレールがなくなりつつある時代の中で、子どもたちだけでなく、子育てや保護者の在り方、考え方もアップデートしていく必要があるのではないだろうか。

そんな考えから生まれたのが「保護者2.0」という言葉です。

約1時間半にわたるイベントのなかから、これからの保護者のあり方を考えるヒントとなる部分をピックアップしてお届けします。

登壇者紹介

登壇者は全員が父親であり、現役の経営者です。

子育てについてもそれぞれがユニークな取り組みをしており、自身の経験から保護者の在り方についてお話しいただきました。

司会:松井 健太郎

二女の父(小5・小1)。
2005年に社会人になり、3社勤務の後2016年からフリーに。
人/組織づくりや事業づくりに関する仕事を複数社でしながら、越境人材サービスのTonashiba(トナシバ)を立ち上げ、運営。
地域づくりNPOのneomuraの運営も行う。

木村 智浩

4児の父。
子どもはモンテッソーリ園や体験型中心の自由学校に通う。
起業家輩出の株式会社ガイアックスにて人事責任者、新規事業責任者を務める。
日本最大級の保育者研修「保育アカデミー」の運営も行う。

小緑 直樹

二児の父で株式会社アスタンスの代表取締役。
キャリアスタートから16年間、人材育成や採用の仕事に携わる。
アスタンスの設立以来、17時に帰宅する働き方を継続中。
2018年は9ヶ月間仕事を休業し、日本全国・家族キャンピングカー旅を実施。
2020年4月からは家族で軽井沢に移住。

中村 寛大

二児の父。
4歳の長女はモンテッソーリ園から栃木県の山のようちえんへ転園。
タイガーモブ株式会社のCOOとTonashiba(トナシバ)の監督を務め、日本全国50の学校、2500名の生徒にオンラインでの学びを提供する。

小助川 将

二児の父。Go Visions株式会社代表取締役。
長女は小学校での教育の疑問から中学受験を経験。高校はN高へ。
長男はロボット世界大会2年連続ベスト8。孫正義育英財団3期生。
好奇心に火がつくオンラインの学び場”SOZOW”を運営。

子どもの夢中と勉強のバランスをどうするか

まずは、事前にいただいた質問のなかで特に多かったお悩みにお答えします。

■実際に寄せられた質問の一部

「学校のテストがある限り、どうしても点数を気にしてしまう自分がいます。ゲーム、Youtubeが大好きで、そればかりしていても「勉強したら?」と声かけせず、テストでどんな点を取ろうと、何も干渉しない(小言を言わない)のは難しいです。勉強だけが全てではないと思っていても気になってしまう自分がいて、いつも葛藤しています。」
(小6/中3の保護者/大阪府)

子どもの夢中と勉強のバランスについて、どのように向き合われているのか、パネラーのみなさまにお聞きしていきたいと思います。

息子はとにかく自分の好きなことにすごくのめり込みます。
ゲームのフォートナイトにすごくハマって、トイレにまでiPadを持っていき、動画を見ながら研究するほどでした。

当時小学生でフォートナイトのアジア大会に出て、同じチームの高校生や大学生と議論しあったりしていたんです。そういう姿を見ると、学校の狭い枠組みでは収まらないような刺激や学びを得ているんではないかなと思いました。

無理にバランスを取りに行くのではなく、夢中なものがあるならそれを突き抜けていくのもいいんじゃないかなと思います。

ただどうしても、小中学校という仕組みがある以上親としては気になってしまう気持ちもわかります。

そこでお子さんが教科書なし、テストなし、異学年共同の環境の学校に通われている木村さんにこの点についてお聞きしてみたいです。

勉強は「なんのためにやるのか」が一番重要だと思っています。

勉強ってその子自身が楽しいものであるはずなのに、「宿題を終わらせたらゲームしていいよ」という感じでやらせてしまうと、「勉強=負担」になってしまうんですよね。

勉強は本来、面白いものなはずなんです。

子どもたちは学校で料理を作るプロジェクトをやっていて、去年はパンを作っていました。「美味しいパンを食べたい!」を追求をする中で、化学反応や歴史、地理などの分野にいくらでも広がると思いますし、それが生きた学びだと思います。

僕の娘も最近はiPadで絵を描くことに夢中です。でも、子どもも必ず何か理由があってそれを見ていたり触っていたりするので、無理に遮るのは良くないのかなと思います。
家に帰ってきたら「今日はこれからどう過ごすの?」って聞くと、子どもは「これとこれをやる!」ってちゃんと考えていたりするので、そこを信頼して任せるというので十分かなと思います。

夢中と勉強は別のものというより、勉強の中に夢中があるのかなと思います。

息子は宿題なし、チャイムなし、先生なしの学校に通っています。

テーマプロジェクトという取り組みの中で学んでいるんですが、その一つに学内商店街を立ち上げるというプロジェクトがありました。学内通貨が発行されて、自分たちがお店をやるという内容です。

まずは土地を取得するんですけど、学校内でも良い土地は固定資産税が高かったりするんです。そういったことを考えながら、いかに稼ぐのかや、お客さんに刺さるコンセプトを作るのかというところを探究していきます。

国算理社というわかりやすい「学力」よりも、リアルな体験値をもとにした「価値観」や、自分なりの「世界観」を身につけているのかなと思います。

他人軸の夢中ではなく自分軸の夢中

夢中になるものの中でも、SNSについてはどうでしょうか。

SNSはどうしても自己肯定感や競争心を煽るような側面があると思うのですが、子どもとSNSの付き合い方について、みなさんに聞いてみたいです。

僕たちは偏差値であったり能力主義の中で生きてきたからこそ、SNSを使ったときにも他人との比較をしてしまうのではないかなと思います。

競争や他人との比較の中で生かされてくると、さっき小緑さんがおっしゃっていたような「自分の価値観」がないんですよね。

それでSNSにハマってしまうと言うのは、他人との比較や勝ち負けの夢中なので、自分の幸せからは遠ざかっていると思います。

今小4の息子はSNSというよりYouTubeにハマっているんですが、親として見ているのは、その時間が「自分モード」なのか「他人モード」なのかというところです。

自分モードというのは、「自分にとって面白いことを探究したい」という気持ちでやっているのかどうかということです。

メディアは刺激が強いものも多いので、「探究したい!」という気持ちも特になく、周りに流されるまま、つまり他人モードで夢中になっている時はちょっと声かけしたり、一緒に考えてみたりします。

子どもと本音のコミュニケーションを取る

良好な親子関係や子どもの自己肯定感にとって大切なのが、親子間のコミュニケーションです。後半は、パネラーのみなさんの家庭でのコミュニケーションについて話していただきました。

僕自身、お互いの価値交換が等しいときに本当の学びが起こると思っています。生徒が一番学ぶ時って、先生が生徒から一番学んでいる時でもあるんですよね。

これを親子関係で言うと、僕たちが間違えたり、歪んだ考えを子どもに押し付けようとしてしまったときに、きちんと「誤解していた」と伝える姿勢が大切なのかなと思います。

子どもとの対立の中で親自身が学んでいくこと、そして自分の間違いを認めることが、子どもの学びや自己肯定感につながっていると思います。

子どもと遊ぶときに本気になるというのもこれに通ずるかなと思います。

僕は子どもとかくれんぼするときは本気でやるんですけど、本当に見つけられないときもあります(笑)

そういうところに隠れるんだって感心しますし、子どもも「パパああいう隠れ方するんだ」って学んでいきますよね。

「子どもだから」「大人だから」ではなくて、子どもを一人の人としてリスペクトすることが大切かなと思います。

やっぱり子どもも大人もですけど完璧な人間はいないですよね。

僕も子どもに自分のエゴを押し付けてしまったことがあったんですけど、そういう時は「パパが悪かった」だったり「あの時は焦ってていってしまった」とか素直に認めるのは大事だなと思っています。

それから僕も息子や娘と何かをするときは本気でやっていました。世界地図をお風呂に貼って、世界の首都を覚えていたんですけど、僕も地理得意だったので本気でやってました。

親も子どもも人として同じだよねというスタンスでいれば、弱みも開示しあえるし、子どもたちも安心できるのかなと思います。

それぞれの考える「保護者2.0」

みなさんは、今回のテーマである「保護者2.0」についてどのように考えていますか。

私の考える「保護者2.0」は3つあります。

一つは、従来の常識にとらわれないこと。

世間で言われていることや親の常識が約20年前の考え方で、子どもたちが生きていくのがこれから20年、30年先の時代であることを考えると、40〜50年ものギャップがあることになります。自分たちの思う「常識」を一旦取っ払うことがまず大切ではないでしょうか。

二つ目は、子どもを一人の人として尊重することです。

子どもは親の所有物ではありませんし、当然興味も個性も違います。
子どもを自分の思い通りにしようとするのではなく、一人の人間として尊重することが大切だと思います。

最後に、保護者自身が自分の心に素直になることです。

今働いている環境の中で、ワクワクしているか、反対に何かにモヤモヤしているのか。そういう感情は次のステップに行動する原動力になるので、その気持ちに素直になることが大切だと思います。
そういう原動力は子どもにも伝わっていくと思います。

僕の思う「保護者2.0」は、ご機嫌な保護者です。

子どもに対して、「子どもが育つ」ではなく「子どもを育てる」という発想でいると、子どもの足りなさや未熟さが目について焦ったりイライラしたりしてしまいます。

一方、子ども自身が育つという発想でいると、自分自身もポジティブになったり、子どもとの楽しい時間が増えたりしていくんじゃないかなと思います。
そんな子どもと親との相互作用が生まれるのが「保護者2.0」なのかなと思います。

一つは「保護しない」ことです。

今のような情報社会では、物事について「知っている気」になってしまうことがたくさんあると思います。
そんな時代だからこそ、自分なりの意見をしっかり持つことが大切ではないでしょうか。

子どもがいろんな物事に飛び込んでいけるためには、保護者はある意味「子どもを保護しすぎない」ことが大切なのかなと思います。

もう一つは、「生かし合う」ことです。お互いの長所を生かし合えるようになること、それを家庭でも実践していくことを僕自身も大切にしています

僕の思う「保護者2.0」は、僕らの社会はもっとつながりがあるということに気づくことです。

やっぱり皆さんが言っているように、保護者自身が幸せを追求することが大切だと思っています。ただ、それも自分だけが幸せであれば良いのではなくて、みんなで幸せになっていきたいうという考え方の人も増えていると思います。

僕たち保護者も孤独や恐怖感を感じることがあると思うんですが、周りとのつながりや新しい喜びに気づいていくことが、自分たちの幸せ、そしてみんなで幸せになれる社会へのアップデートにつながっていくのではないかなと思います。

また、イベントにご参加くださった皆さまにも「保護者2.0とは何か」をご一緒に考えていただきました、その答えの一部をご紹介します。

みなさんもぜひ、自分なりの「保護者2.0」を考えてみてください。

まとめ

子どもとの向き合い方や保護者自身の在り方についてさまざまなヒントが詰まったイベントだったのではないでしょうか。

「保護者はどのようにアップデートすればいいのか」「保護者2.0とは何か」に対して、自分なりの答えを見つけていただけていたら幸いです。

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